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(1) 陸上植物の葉緑体増殖機構に関する研究 その2
葉緑体が独自のDNAを持つことは前から知られていました。陸上植物の葉緑体DNAは大体150kbp程度の塩基対で構成されており、100個超の遺伝子をコードしています。何故、独自のDNAを持つのかということの説明としては、細胞内共生したシアノバクテリア(藍藻)との共生進化説が有力視されています。
葉緑体の起源となったシアノバクテリアは、分裂によって娘細胞を生み出し、増殖していたが(図3)、
図3 シアノバクテリアの増殖の模式図
ある時、多分17億年前くらいに、ミトコンドリアを既に獲得していた真核細胞が藍藻を取り込み、細胞内共生によって葉緑体ができあがった(図4)、
図4 共生進化の模式図
というシナリオです。
元々シアノバクテリアという原核生物だった訳ですから、新規に細胞内で作られることは無く、分裂によって増える、ということです(図5)。
図5 植物細胞内での葉緑体の分裂