(1) 陸上植物の葉緑体増殖機構に関する研究 その1
葉緑体(クロロプラスト)は植物細胞内で光合成を行う重要な細胞小器官(オルガネラ)です(図1 植物細胞)。
図1 植物細胞の模式図
葉緑体は、実は色素体(プロプラスチド)というオルガネラの一形態です。種子や塊茎などでは貯蔵デンプンを持ちアミロプラストと呼ばれます。また、果実や花弁ではカロテノイドを蓄積して、橙色や赤色を呈する有色体(クロモプラスト)となります(図2)。
図2 植物の発生における色素体の増殖と分化
色素体は、細胞内で新規に合成されることはなく、元々存在している色素体が増殖することによって増えていきます。高等植物では、頂端分裂組織のように細胞が分裂して増殖している組織において、色素体は原色素体(プロプラスチド)という、小型で、光合成のための内部構造も未発達なオルガネラとして増殖します。
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