理学部に入学する皆さんへ
物理学は、素粒子を始めとする極微な世界から宇宙という巨大な世界に至るまで、様々な階層で起こる自然現象を対象とし、観測と理論的考察によりその背後に潜む普遍法則の探求と体系化を行う学問です。自然科学の中でも早期にその体系化が進んだ学問であり、我々の自然認識の深化に多大な貢献をしてきています。さらに、その成果は物理学のみならず理学の他分野、工学、医学、さらには経済学にも利用され、現代社会を支える基盤的学問の一つとなっています。物理学を学び研究する醍醐味は何でしょうか。未知の世界に新しい真理の路を切り拓き、人類にとっての新しい価値を生み出すことに貢献することは非常に魅力的でしょう。古典物理学の成功により、物理学はほぼ完成されたものと信じられていた19世紀後半、黒体輻射、原子の安定性、光速度、エーテルといった未解決問題は古典物理学の範疇で解決されるものとの期待がありました。しかしながら、その期待は裏切られ、相対性理論や量子力学といった新しい学問体系が生まれました。それらの学問は、現代の私達の生活において計り知れない程の重要性をもっています。物理学における新しい真理の発見は、現象解明への人類の飽くなき「なぜ」
によるものです。「素朴な疑問と向かい合う」、熊本大学理学部で受け継がれてきた気風です。熊本大学の物理科学コースで、素朴な疑問と付き合ってみませんか。物理学の謎を解く時間を皆さんと共有できることをスタッフ一同楽しみにしています。