熊本大学 理学部

理学部通信

教務委員会

教務委員会 教務委員長 小松俊文

 熊本大学理学部の1学部1学科制では,大学入学後に専門のコースを選びます.1年次には,数学・物理・化学・地学(地球科学)・生物の全ての分野の基礎を学ぶ「理系基礎科目」を履修し,2年次に専門的な分野への導入となる「理学共通科目」を学びます.その後,3年次からは,各自が選択したコースで「理学専門科目」を履修して専門性を高め,4年次では学部での学修の総仕上げとも言える卒業研究に取り組みます.

 令和6年度からの入学生に対しては,このような授業の体系や区分,進め方に変更が生じています.少しでも早い段階で専門的な知識を学ぶ機会を増やすため,学生は2年次の8月下旬から9月上旬にコース選択を終え,2年次後期から各コースに分かれて専門性の高い授業を学べるように授業内容の見直しを進めました.これに伴い学修指導や進路相談を行う上で役立ってきたチューター面談(教員1名に対して学生2~5名程度の小人数制の面談)の実施時期も,多少変更が生じています.また,学生の学修状況を把握するために1,2年生の科目では,出席状況調査を実施しています.この調査は,出席管理システムで出席状況をオンラインで把握し,欠席の多い学生に対しては,学部長,学科長,教務委員長が面談をして,個別に履修・生活指導を行います.さらに令和5年度からは,「熊本大学保護者等Web」によって,保護者も御子息や御息女の履修状況や単位の取得状況,出席状況などを容易に把握できるようになりました.教務員会では,例年,年度初めのガイダンスへの対応,教育活動を円滑に進めるためのサポート,時間割の作成,全ての学生の進級・卒業要件単位数の確認などを主に行っていますが,今年度は上記に関する様々な案件や教養教育科目の見直しなどがありました.

 若者が職を得て自立するまでに,社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現することを促すための教育分野があります.理学部では,2年生の後期にこのようなキャリア教育の一環として,「理学概論」が開講されています.令和5年度は,学部長に加えて,理学各分野と密接な関係をもつ企業等で活躍されている以下の方々に講義を担当して頂きました.

  • 株式会社デンソー:川原 伸章 先生
  • 株式会社熊本銀行:岩木 優樹 先生
  • WildBird 代表:門岡 良昌 先生
  • 西日本技術開発株式会社:西園 幸久 先生
  • 株式会社肥後銀行:堤 勇作 先生
  • Pharmira株式会社:清水 秀樹 先生
  • 武田薬品工業株式会社:齊藤 文内 先生

 講義内容は,講師によって大きく異なりますが,会社の概要に始まり,通常の業務やプロジェクト,会社あるいは部署で必要とされる人材・能力・資質,さらには社会人としての立ち振る舞いなどについても,御本人の経験を踏まえて紹介して頂いた他,講師によっては大学院進学への選択や大学院での研究活動,留学などについても説明があったことが,学生のレポートに記されていました.通常の講義では得られない刺激を受け,卒業後の進路を考える良い機会になったようです.

理学概論 門岡良昌氏(昭和55年理学部数学科卒業 博士
(理学)、熊大名誉フェロー)の講義風景