川節 和哉

熊本大学大学院先導機構
准教授
教育研究分野:代数学
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オーガナイザー
無限次元表現論セミナー
ワークショップ
「頂点作用素代数と関連する話題」(2020/2/10-14)
場所:熊本大学黒髪キャンパス南地区 自然科学研究棟 E5, 3階 DC301号室

専門分野
表現論
研究テーマ
頂点作用素代数の表現論

量子場の組に対する可換性として、局所可換性という性質があります。互いに局所可換な量子場の集まりが生成するような代数を頂点作用素代数と言います。頂点作用素代数は80年代に定義された比較的新しい代数系で、有限単純群モンスターとモジュラー関数の不思議な関係を説明するために見出されました。また、物理学でも、二次元共形場理論という量子場理論の一種の対称性を記述する代数として現れます。
頂点作用素代数の表現は通常無限次元であり、重要な表現が数多く現れます。私は頂点作用素代数の表現論を、モジュラー関数の理論、組合せ論、微分方程式論、群論、代数幾何学など、いろいろな理論との関係のもとで研究しています。

研究成果
  1. ある種の有限性条件を満たすW代数は許容(admissible)レベルを持たなければならないという、Kac と脇本による予想の反例を与えた。この結果により許容レベル以外でも良い性質を満たすW代数がたくさん存在することが示唆され、その後の発展への先鞭をつけた。

  2. (with T. Arakawa) 上記の有限性条件を一般化した概念を導入し、その条件を満たす頂点作用素代数の表現の指標が、モジュラー微分方程式という、モジュラー形式と関係した微分方程式を満たすことを示した。応用として、4次元超共形場理論の不変量として現れる、ある種の頂点作用素代数の指標を決定し、それが擬モジュラー形式であることを示した。

  3. (with D. Ridout) Relaxed 最高ウェイト表現のなす圏は、対数的共形場理論の表現論を記述するのに非常に有効であることが、近年、主に物理学者らによって認識されている。許容レベルを持つ対数的アフィン頂点代数の既約 relaxed 最高ウェイト表現を分類し、指標について一定の理解を得た。

  4. 例外型単純リー環 $E_7$ と $E_8$ の間に存在する不思議なリー環 $E_{7\frac{1}{2}}$ のアフィン化を導入し、その指標がモジュラー微分方程式を満たすことを示した。この微分方程式は物理学者 Mathur, Mukhi, Sen らによって80年代に観察されており、共形場理論との関係がミステリアスであった。本結果は$E_{7\frac{1}{2}}$ に付随する頂点代数を用いて、その疑問への一定の回答を与えている。
論文リスト
Curriculum Vitae
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