大域解析セミナー

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これからのセミナー

第55回

日時:2023年1月27日(金)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:西山雄太氏(熊本大学)
題目:KdV方程式系とSchurのQ-関数の関係について

要旨:ソリトン方程式の代表的な例であるKdV方程式について,そのLax方程式としての表示を変えることにより無限個の方程式の系列を得ることができる.これはKdV方程式系と呼ばれるものである.また,対称関数は対称群の表現論などと深く関係している対象であり,特にSchurのQ-関数と呼ばれる対称関数は対称群のスピン既約指標を記述することが知られている.本講演では,KdV方程式系の解の振る舞いとSchurのQ-関数がうまく対応している,という水川-中島-山田による予想とそれに関する最近の研究を紹介する.



これまでのセミナー


第1回

日時:2005年2月24日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:木村弘信氏(熊本大学理学部)
題目:一般超幾何関数のホッジ理論をめざして I

要旨:一般超幾何関数に対するホッジ理論の構築を目論んで,最初の2-3回は古典的なホッジ・小平理論の大学院生向けの解説を行う.

第2回

日時:2005年3月10日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:田邊晋氏(九州大学数理学研究科)
題目:On uniformisation of discriminantal loci for complete intersections



第3回

日時:2005年4月14日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:木村弘信氏(熊本大学理学部)
題目:一般超幾何関数のホッジ理論をめざして II

要旨:一般超幾何関数に対するホッジ理論の構築を目論んで,最初の2-3回は古典的なホッジ・小平理論の大学院生向けの解説を行う.第2回目.

第4回

日時:2005年5月26日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:木村弘信氏(熊本大学理学部)
題目:一般超幾何関数のホッジ理論をめざして III

要旨:一般超幾何関数に対するホッジ理論の構築を目論んで,最初の2-3回は古典的なホッジ・小平理論の大学院生向けの解説を行う.第3回目.

第5回

日時:2005年6月15日(水)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:吉野正史氏(広島大学理学部)
題目:Exact asymptotic analysisの非線形偏微分方程式への展開--ベクトル場の標準形と混合方程式への応用--



第6回

日時:2005年7月21日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:村田嘉弘氏(長崎大学経済学部)
題目:行列型Painleve方程式とPainleve方程式

要旨:行列型Painleve方程式M_{\lambda}は,重さ4のヤング図形\lambdaとグラスマン多様体Gr(2,4)上の反自己双対ヤンミルズ方程式により定まる行列型の常微分方程式であるが,これは,15種類に分類され,それぞれがPainleve方程式またはその退化形に対応している.M_{\lambda}側を見るとPainleve方程式の種々の退化現象がほぼ統一的に理解できる.

第7回

日時:2005年9月16日(金)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:浜田さやか氏(八代高専)
題目:On Baker-Forrester's constant term conjecture



第8回

日時:2005年10月14日(金)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Galina Filipuk氏(熊本大学理学部)
題目:On middle convolution and the Painleve equations



第9回

日時:2006年1月27日(金)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:笹野祐輔氏(神戸大学)
題目:Higher order Painleve equations of types Al(1), Bl(1), Cl(1), Dl(1)



第10回

日時:2006年2月10日(金)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:金子譲一氏(琉球大学)
題目:Selbergのある極値問題について



第11回

日時:2006年5月10日(水)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Robert Conte氏(CEA-Saclay, France)
題目:On the Lax pairs of the sixth Painleve equation

要旨:こちらをご覧下さい

第12回

日時:2006年11月16日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:三町勝久氏(東京工業大学)
題目:セルバーグ型積分に付随する接続問題とラカー多項式



第13回

日時:2006年12月21日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:笹野祐輔氏(東京大学)
題目:2変数Garnier系の仲間と岡本変換の拡張



第14回

日時:2007年1月18日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:植田一石氏(大阪大学)
題目:コアメーバとGKZ超幾何関数のモノドロミー

要旨:GKZ超幾何関数はGaussやAppell、Lauricellaなどによる古典的な超幾何関数の一般化としてGelfand、KapranovおよびZelevinskyによって定義された超幾何関数であり、周期積分やトーリック幾何などと密接に関わる興味深い対象をなす.また、これに関係して彼らによって導入されたアメーバと呼ばれる対象も、実代数幾何やトロピカル幾何、数理物理などとの関係で近年注目を集めている.このアメーバの親戚として、コアメーバ(coamoeba)と呼ばれる対象がPassareとTsikhによって導入された.また、同じものは物理学者のFeng、He、KennawayおよびVafaによって藻類(algae)と呼ばれ、トーリック多様体のミラー対称性と深くかかわることが予想されている.今回は一体これが何者で、それが何故GKZ型の超幾何関数のモノドロミーの計算に役立つかを解説したい.

第15回

日時:2007年2月15日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:河野實彦氏(熊本大学)
題目:拡張型プサイ関数に対するガウス乗積公式



第16回

日時:2007年2月22日(木)14:00 -- 15:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:川上拓志氏(東京大学)
題目:反自己双対ヤン-ミルズ方程式の高次元化について

要旨:反自己双対ヤン-ミルズ方程式からある種の次元簡約でパンルヴェ方程式が得られることはよく知られているが,パンルヴェ方程式の一般化を目指して,ヤン-ミルズ方程式の高次元化について考察する.

第17回

日時:2007年7月12日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:高宗和史氏(熊本大学自然科学研究科,生命科学講座)
題目:発生の不思議を解析する

要旨:我々のからだは1個の受精卵から始まり,成人になる頃には細胞の数は60兆個にもなります.これらの細胞の中には,血液細胞や目の細胞などいろいろな働きを持つものが存在します.1個の細胞からこのような多様な細胞ができる仕組みを概説します.生物分野においても,数学的な発想や解析方法が役立つ場面が多くあると感じています.それを,この話の中で皆さんと一緒に探していきたいと思います.

第18回

日時:2007年7月26日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:増田哲也氏(筑波大学)
題目:量子群が通常のLie群と違う点について



第19回

日時:2007年10月31日(水)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:内山康一氏(上智大学)
題目:球対称p-Laplace方程式の局所解とBriot-Bouquet型定理について

要旨:n次元球対称p-Laplace方程式(rn-1|Ur|p-2Ur)r+λ rn-1|U|q-2U=0 (ただし, 1< p,q< ∞, λは0でない実パラメーター) の局所弱解(C1解)の特異点の近傍の様子を2変数のBriot-Bouquet型定理から求まるベキ級数で記述することができる.



第20回

日時:2007年11月8日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:渡辺文彦氏(北見工業大学)
題目:Wirtinger 積分の一般モジュラー変換について

要旨:Wirtinger 積分とはガウスの超幾何函数に対する積分表示のひとつであり,超幾何函数は上半平面上の一価函数として一意化できる.これを用いると超幾何函数のよく知られたモノドロミー行列が,適当なモジュラー群の生成元に対するモジュラー変換で生じる係数行列とみなせることが最近わかった.この考えを発展させ,考えているモジュラー群の一般元に対するモジュラー変換がどのようになっているか興味がわく.このセミナーではこの一般元に対するモジュラー変換が実際計算でき具体的表示が得られることを解説する.超幾何函数のモノドロミー行列は基本群の表現行列として捉えられるのが一般的であるが,この結果は基本群の「一般元」に対する表現行列を表わしていると考えられ,モジュラー群を経ずに単に基本群の範囲内にとどまっているのでは同等の結果を得るのはなかなか大変ではないかと思われる.モジュラー群の一般元に対するモジュラー変換が考察されたものとしては,テータ函数やデデキントのエータ函数はよく知られており,変換式の係数にガウス和やデデキント和といった数論的に興味ある特殊和があらわれるが,Wirtinger 積分のモジュラー変換則の係数においても複雑な和の形が現れ,これが前記の特殊和と同様に興味ある対象なのかどうか最近知りたいと思っている.

第21回

日時:2007年11月15日(木)16:30
場所:熊本大学理学部2号館 C331教室

講師:Timur Sadykov氏(Siberian Federal University)
題目:DIFFERENTIAL EQUATIONS WITH PRESCRIBED FINITE MONODROMY GROUP

要旨:I will present a joint work with Finnur Larusson. We state and solve a discrete version of the classical Riemann-Hilbert problem. In particular, we associate a Riemann-Hilbert problem to every dessin d'enfants. We show how to compute the solution for a dessin that is a tree. This amounts to finding a Fuchsian differential equation satisfied by the local inverses of a Shabat polynomial. We produce a universal annihilating operator for the inverses of a generic polynomial. We classify those plane trees that have a representation by M\"obius transformations and those that have a linear representation of dimension at most two. This yields an analogue for trees of Schwarz's classical list, that is, a list of those plane trees whose Riemann-Hilbert problem has a hypergeometric solution of order at most two.

第22回

日時:2007年11月29日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:貞廣泰造氏(熊本県立大学)
題目:ダイマー配置とそのサンプリング法

要旨:周期平面グラフの完全マッチングの統計的性質はダイマー模型として研究され,近年大きな発展を遂げた.この発展に計算機シミュレーションは不可欠の役割を果たしてきた.完全マッチング(ダイマー配置)をランダム生成する二つのアルゴリズムを紹介する.また,これまでの発展の枠組の外にある非二部グラフに関する結果を紹介する.

第23回

日時:2008年3月7日(金)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:中野史彦氏(高知大学)
題目:ペンローズタイリングの初等的性質について

要旨:ペンローズタイリングについては,主に射影法やup-down generationなどの手法を用いて様々な美しい性質が知られている.本講演では,ペンローズタイリングの組み合わせ的構造について,貼り合わせ法を用いて得られた初等的な結果について述べる.また時間があれば,関連する話題についても触れる.

第24回

日時:2008年11月10日(月)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Donald A. Lutz氏(San Diego州立大学)
題目:Asymptotic Integration of some classes of linear differential equations

要旨:This talk will involve theorems which have been used for obtaining asymptotic representations for solutions of several different kinds of second order linear differential equations. The methods used to obtain the results originally were quite ad hoc and depended heavily on the special structure of the equations. It will be shown how the results can also be obtained from a more unified perspective as part of a general theory for systems of linear differential equations originated by N. Levinson. In doing so, the results can in many cases also be improved and extended.

第25回

日時:2008年12月9日(火)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:村田実貴生氏(青山学院大学理工学部)
題目:qパンルヴェ方程式のラックス形式

要旨:パンルヴェ方程式は,線型常微分方程式のモノドロミーを保って変形するための条件としても現われる. 一方,qパンルヴェ方程式はパンルヴェ方程式のq差分類似であり, そのうちの多くは線形常差分方程式の接続を保って変形するための条件として表すことができる. 本講演では,そのことについて解説する.

第26回

日時:2009年6月25日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Vladimir P. Kostov氏(ニース大学)
題目:On the Schur-Szegö composition of polynomials

要旨:The Schur-Szegö composition (SSC) of the degree n polynomials P:=∑j=0najxj and Q:=∑j=0nbjxj is the polynomial P*Q:=∑j=0najbjxj/Cnj. We recall first some classical results. When the polynomials are hyperbolic, i.e. with all roots real, and when all roots of P have the same sign, then the multiplicity vector of P*Q is completely defined by the multiplicity vectors of P and Q. When both P and Q have all their roots negative, then the SSC defines a semi-group action on the set of multiplicity vectors considered as ordered partitions of n.
If a (complex) polynomial P has one of its roots at -1, then it is representable as an SSC of n-1 polynomials of the form (x+1)n-1(x+ai) where the numbers ai are uniquely defined up to permutation. We shall discuss some properties of the mapping sending the symmetric polynomials of the roots of P into the ones of the numbers ai.

第27回

日時:2009年10月27日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:Marius van der Put氏(グロニンゲン大学)
題目:Classification of meromorphic differential equations

要旨:The classification of linear differential equations over the field K=C({z}) of the meromorphic functions at z=0 (i.e., the field of the convergent Laurent series) is a highlight of the theory of asymptotics. Starting with simple examples we will give a survey of this and show how this leads to explicit monodromy spaces. The relation with a theorem of Sibuya and the fundamental paper of Jimbo-Miwa-Ueno will be discussed.

第28回

日時:2009年11月17日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:吉田正章氏(九州大学)
題目:超幾何関数から生じる幾何の話題



第29回

日時:2009年12月10日(木)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:加藤満生氏(琉球大学)
題目:Reflection subgroups of Appell's F4

要旨:Assume the system of differential equations E4(a,b,c,c';X,Y) satisfied by Appell's hypergeometric function F4(a,b,c,c';X,Y) has a finite irreducible monodromy group M4(a,b,c,c'). The monodromy matrix Γ3* derived from a loop Γ3 once surrounding the irreducible component C={(X,Y)|(X-Y)2-2(X+Y)+1=0} of the singular locus of E4 is a complex reflection. The minimal normal subgroup NC of M4 containing Γ3* is, by definition, a finite complex reflection group of rank four. Let P(G) be the projective monodromy group of the Gauss hypergeometric differential equation 2E1(a,b,c). It is known that NC is reducible if ε:=c+c'-a-b-1∉Z or if ε∈Z and P(G) is a dihedral group. We prove that if ε&isinZ, then NC is the (irreducible) Coxeter group W(D4), W(F4), W(H4) according as P(G) is a tetrahedral, octahedral, icosahedral group, respectively.

第30回

日時:2010年2月9日(火)16:10
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:関口次郎氏(東京農工大学)
題目:3次元空間の単純型斎藤自由因子に沿って特異点を持つ微分方程式系について

要旨:曲線の例外型単純特異点の変形として3次元空間の斎藤自由因子が定義できる。この分類を講演者はした。これらの斎藤自由因子の補空間の基本群を斎藤、石部が研究した。一方では、講演者はこれらの斎藤自由因子に沿った一意化方程式系といわれる微分方程式系の分類をした。このような微分方程式系の解空間の次元は3次元である。一意化方程式系の類似のもので解空間が2次元になるものも分類した。このような微分方程式系のモノドロミーとして、基本群の2次元あるいは3次元 の表現が得られる。基本群の表現と微分方程式系の関係について論じる。

第31回

日時:2010年3月8日(月)17:00
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Timur Sadykov氏(Siberian Federal University)
題目:Bases in the solution space of the Mellin system

要旨:I will present a joint work with Alicia Dickenstein. We consider algebraic functions z satisfying equations of the form
a0 zm + a1zm1 + a2 zm2 + … + an zmn + an+1 =0.
Here m > m1 >… > mn>0, m,mi N, and z=z(a0,…,an+1) is a function of the complex variables a0, …, an+1. Solutions to such equations are classically known to satisfy holonomic systems of linear partial differential equations with polynomial coefficients. In the talk I will investigate one of such systems of differential equations which was introduced by Mellin. We compute the holonomic rank of the Mellin system as well as the dimension of the space of its algebraic solutions. Moreover, we construct explicit bases of solutions in terms of the roots of initial algebraic equation and their logarithms. We show that the monodromy of the Mellin system is always reducible and give a formula for the holonomic rank of a generic bivariate hypergeometric system.

第32回

日時:2010年5月27日(木)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Raimundas Vidunas氏(神戸大学)
題目:Transformations between Heun and hypergeometric equations

要旨:It is known that Heun's functions (or differential equations) can be reduced to Gauss hypergeometric functions by rational changes of its independent variable only if its parameters, including the fourth singular point location parameter t and the accessory parameter, take special values. The talk will present a classification of Heun functions reducible to Gauss hypergeometric functions via such transformations. Some arithmetic properties of the parameter t will be noted.

第33回

日時:2010年10月20日(水)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:佐々木隆氏(京都大学基礎物理学研究所)
題目:例外 Jacobi多項式:3 + l (l =1,2,…) 個の確定特異点を持つSchroedinger (Sturm-Liouville)方程式の大域解

要旨:3個(超幾何),4個(Heun)より多くの確定特異点を持つFuchs型微分方程式の大域解は,今までほとんど知られていない.この話では,3 + l (l =1,2,…) 個の確定特異点を持つSchroedinger (Sturm-Liouville)方程式の解の完全系の具体形を与える.この方程式は,次のようなHamiltonian (Schroedinger作用素)を持つDarboux-Pöschl-Tellerポテンシャル
    H = -d2/dx2+g(g-1)/sin2x+h(h-1)/cos2x
の変形である.固有関係は例外 Jacobi多項式Pl,n(η), n=0,1,2,…, からなり,その次数はdeg(Pl,n)=n+l である. 従ってBochnerの定理による制約を受けない.合流型の極限から2種類の例外 Laguerre多項式,l =1,2,…が得られる. 同様の変形方法によって,例外 Wilson およびAskey-Wilson多項式,l =1,2,…が得られる.

第34回

日時:2011年2月4日(金)17:00
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:山田光太郎氏(東京工業大学)
題目:CMC-1 trinoids in H3 and related objects

要旨:3次元双曲空間の CMC-1 trinoid (種数 0 で 3つの自己交叉をもたないエンドをもつ完備かつ平均曲率が 1であるような曲面)の分類を与え,それに関連する対象 (錐的特異点をもつ定曲率 1の計量,超幾何微分方程式のモノドロミー) との関連を解説する.

第35回

日時:2011年2月7日(月)17:10
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:吉田正章氏(九州大学)
題目:平面配置

要旨:空間を六枚の平面で切るとどんな図形が現われるか,古代希臘の幾何学者が既に知っていたようなことだが,頭脳の劣化した現代の数学者には結構難しい.このようなことを話題に(超)平面配置について論じる.

第36回

日時:2011年10月31日(月)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:西岡啓二氏(慶應義塾大学)
題目:可解な微分方程式の変分方程式は可解である

要旨:代数的微分方程式の一般解の変分がみたす方程式は線形微分方程式である。一般解が、係数体から出発して、代数方程式の解を求めたり、積分を行ったり、積分の指数関数をとるという3つの操作を有限回行って得られるならば、与えられた微分方程式は可解であるという。もし、微分方程式が可解であるならば、その変分方程式もまた可解であることを証明する。変分方程式の基礎的な性質についてもいくつか述べる。議論は微分体のことばで述べられる。

第37回

日時:2012年2月6日(月)15:00
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:山田裕史氏(岡山大学)
題目:無限変数多項式環の混合基底

要旨:無限変数多項式環の基底としてよく知られているのはシューア函数であろう.まずそれを解説する.この函数は対称群の通常既約指標と仲が良い.素数pに対して対称群のモジュラー表現の指標(ブラウアー指標)と仲良しの函数を導入して「混合基底」を構成する.二つの基底の間の変換行列について,その組合せ論的な性質を調べていきたい.

第38回

日時:2012年2月7日(火)15:00
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:山田裕史氏(岡山大学)
題目:対称群のカルタン行列にまつわる組合せ論

要旨:正確には「A型の岩掘ヘッケ環のカルタン行列」を考察する.ラスクー達の結晶基底に関する論文に載っている表を見て何気なくやってみた数値実験の結果を理解しようという試みである.昨年の代数学シンポジウムでの講演記録があるので,それに沿って話してみたい.

第39回

日時:2012年11月9日(金)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:笹野祐輔氏
題目:ソリトン方程式とガルニエ系

要旨:ソリトン方程式として知られているmKdV方程式と可換である、4階の自励的な非線形方程式(=パンルべII族の第2族PII(2)の自励系) をみつけ、2つの方程式の組で決まる4階の2変数の偏微分系(自励的なガルニエ系)について、(1)2つの多項式ハミルトニアンをもつハミルトニアン系として記述できること、(2)系の対称性や正則性、 (3)系の相空間などについてお話ししたいと思います。 また、ガルニエ系との関係(非自励化、対応するソリトン方程式)について現在の状況を説明したいと思います。

第40回

日時:2012年11月16日(金)16:00
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:吉永正彦氏(北海道大学)
題目:実超平面配置のミルナーファイバーについて

要旨:複素超曲面の孤立特異点のミルナーファイバーのトポロジーは古くからよく調べられているが、孤立特異点でない場合は、超平面配置の場合ですらベッチ数の決定は簡単ではない(例えば組合せ論的にベッチ数が決定できるかどうかは未解決である)。
 ミルナーファイバーの一次のベッチ数の計算は直線配置の補集合上のある種の局所系係数ホモロジーの次元を求めることに帰着されることが知られている。最近、実数体上定義されている超平面配置の場合に、実構造(Chamber)を使ってベッチ数を計算するアルゴリズムが得られた。そのアルゴリズムに基づく計算例、定性的な結果や予想などを紹介したい。

第41回

日時:2013年12月3日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:宮谷和尭氏(広島大学)
題目:ある種の超曲面と有限体上の超幾何函数

要旨:超幾何函数 2F1(1/2, 1/2; 1; λ) は,Picard-Fuchs 方程式を通じて複素楕円曲線と深くかかわっている.一方,Greene と Katz によって独立に導入された「有限体上の超幾何函数」のうちこれに対応するパラメータをもつものは,有限体上の楕円曲線のゼータ函数に深く関係することが知られている.本講演では,まず古典的な超幾何函数に関する Katz の結果について復習したのち,有限体上の超幾何函数を導入し,古典的な場合との類似を紹介する. また,講演者が得た高次元の超曲面と有限体上の超幾何函数との関係に関する最新の結果についてもお話しする.

第42回

日時:2014年5月13日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:西岡啓二氏(慶応大学)
題目:微分代数から差分代数へ

要旨:微分代数での成果はすこしの言いかえで大体差分代数の成果に翻訳できる。その例をいくつか紹介したい。代数的可積分性を示すPoincareの定理、交換可能な常微分作用素が代数的関係をもつことを主張する定理(代数的にはAmitsurの定理)、線形常微分方程式の解の逆数が線形常微分方程式をもつための必要条件を与えるHarris-Sibuyaの定理など、ほとんど古典的な結果である。言い換えることによって新たな進展が得られると思われる。

この講演はキャンセルになりました。講演内容につきましては,ノートを頂きましたので,こちらをご覧下さい。

第43回

日時:2014年6月11日(水)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:山澤浩司氏(芝浦工業大学)
題目:Holomorphic and singular solutions of q-analogue of the Briot-Bouquet type equations

要旨:こちらをご覧下さい。

第44回

日時:2014年6月26日(木)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:野海正俊氏(神戸大学)
題目:大久保の公式について


第45回

日時:2015年10月27日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:関口次郎氏(東京農工大学)
題目:平坦構造入門

要旨:こちらをご覧下さい。

第46回

日時:2015年11月17日(火)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:伊藤公毅氏(豊橋技術科学大学)
題目:双対曲線を特異点集合にもつ線形微分方程式系


第47回

日時:2015年12月3日(木)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:上原崇人氏(佐賀大学)
題目:有理曲面上の自己同型写像とエントロピーについて

要旨:本講演では, 有理曲面上の双正則自己同型写像について位相的エントロピーを交えて解説する. このエントロピーがSalem 数とよばれる代数的整数を用いて記述されることを紹介し, エントロピー値全体の集合を決定していく. また, エントロピー正の自己同型写像を許容する有理曲面は, 2次元射影空間上の有限点のブローアップにより記述されるが, このプローアップされる射影空間上の点配置についても言及する.

第48回

日時:2016年10月17日(月)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:上岡修平氏(京都大学)
題目:平面分割と可積分系のつながり

要旨:平面分割は(整数)分割の2次元拡張(ヤング図形としては3次元拡張)であり、積型の母関数を持つなど、よい性質を持った組合せ論的オブジェクトである。一方、可積分系は厳密解を陽に書き下せる非線形力学系のことであり、ソリトン理論など主に数理物理の観点から研究されてきたものである。本講演では平面分割と、可積分系のひとつである離散2次元戸田分子との関係について解説する。特に平面分割の既知の積型母関数やそれを一般化した公式が、離散2次元戸田分子の特殊解から直接導かれることを示す。

第49回

日時:2017年7月5日(水)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:松原宰栄氏(東京大学)
題目:不確定GKZ超幾何関数のMellin-Barnes型積分表示について

要旨:GKZ超幾何関数の積分表示については多くの研究があり、特にEuler型(Gelfand et al.)とLaplace型(Schulze-Walther, 斎藤睦, Esterov-竹内)の研究がある。しかしながら、未だ積分サイクルの具体的な構成と大域解析は難しい問題である。この講演では、GKZ超幾何関数のMellin-Barnes型積分表示を導入し、Laplace型積分との関係を通じて積分サイクルの構成について述べる。また、Mellin-Barnes型積分表示はGKZ超幾何関数のもう一つの顔であるGamma級数と直接関係することを述べる。

第50回

日時:2018年7月2日(月)16:30
場所:熊本大学大学院自然科学研究科 数理演習室(301号室)

講師:Raimundas Vidunas氏(大阪大学)
題目:Hypergeometric expressions for modular functions

要旨:The well-known Rogers-Ramanujan series of modular level 5 can be expressed in terms of 2F1-hypergeometric functions with the icosahedral projective monodromy. We show that similar series of level 7 can be expressed as 3F2-hypergeometric functions with the PSL(2,7) projective monodromy of 168 elements.

第51回

日時:2019年1月30日(水)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:Davide Guzzetti氏(SISSA)
題目:Non-generic isomonodromy deformations at an irregular singularity and Frobenius manifolds

要旨:Some of the main results of [1] and [5] (see also [4] for a synthetic exposition with examples), concerning non-generic isomonodromy deformations of a certain linear differential system with irregular singularity and coalescing eigenvalues, are discussed. The results are the analytic part of a joint work with G. Cotti and B. Dubrovin. We were motivated by the problem of extending to coalescent structures the analytic theory of Frobenius manifolds, in view of the computation of the monodromy data of the quantum cohomology of Grassmannians [2], [3], [6]. Analytically, this problem translates to the problem of extending the isomonodromic deformation theory of Jimbo-Miwa-Ueno to certain non generic cases.
References
[1] G. Cotti, B. Dubrovin. D. Guzzetti: Isomonodromy Deformations at an Irregular Singularity with Coalescing Eigenvalues. arXiv:1706.04808 (2017). To appear in Duke Math. J.
[2] G. Cotti, B. Dubrovin. D. Guzzetti: Local Moduli of Semisimple Frobenius Coalescent Structures. arXiv:1712.08575 (2017).
[3] G. Cotti, D. Guzzetti: Analytic geometry of semisimple coalescent Frobenius structures. Random Matrices Theory Appl. 6 (2017), no. 4, 1740004, 36 pp.
[4] G. Cotti, D. Guzzetti: Results on the Extension of Isomonodromy Deformations to the case of a Resonant Irregular Singularity. Random Matrices Theory Appl. (2018).
[5] D. Guzzetti: Notes on non-generic Isomonodromy Deformations. SIGMA 14 (2018), 087, 34 pages.
[6] G. Cotti, B. Dubrovin, D. Guzzetti. Helix Structures in Quantum Cohomology of Fano Varieties. arXiv:1811.09235 (2018).

第52回

日時:2019年11月28日(木)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:関口次郎氏(東京農工大)
題目:代数的ポテンシャルの構成について

要旨:B. Dubrovinによって定式化された次の予想がある
The conjecture: Massive irreducible algebraic Frobenius manifolds with positive degrees di correspond to primitive conjugacy classes in Coxeter groups.
この予想は,WDVV方程式の解=ポテンシャルが代数的な場合には,コクセター群の共役類と対応するだろうということである。この問題について解説し,また最近の研究成果について言及する。

第53回

日時:2022年10月26日(水)16:30
場所:熊本大学自然科学研究棟2階セミナー室(201号室)

講師:後藤良彰氏(小樽商科大)
題目:コホモロジー交点形式と Riemann-Wirtinger 積分

要旨:超幾何関数の Euler 型積分表示に付随するホモロジーとコホモロジーを考察することにより、超幾何関数を幾何学的に調べることができます。本講演では、特にコホモロジーとその上に定まる交点形式についてお話しします。 古典的な場合に関して簡単に復習した後、眞野・渡辺(2012)で考察された Riemann-Wirtinger 積分(1次元複素トーラス上の超幾何積分)に付随するコホモロジーについても、同様の議論が可能であることを紹介したいと思います。

第54回

日時:2022年11月18日(金)16:30
場所:熊本大学理学部3号館4階 共同研究室(D401号室)

講師:根上春氏(千葉大学)
題目:ブレイド群の表現の構成と積分変換

要旨:ブレイド群 Bn は n 本の紐の絡みかたから定まる群であるが、この他にも様々な解釈があるために幅広い応用を持つ。Bn を 自由群 Fn の自己同型群の部分群と見ることによって Fn と Bn の半直積を定めることができるが、Long と Moody は、この半直積の既知の線形表現から Bn の新しい線形表現を構成する方法(Long-Moody 構成)を示した。Burau 表現や、純ブレイド群の表現である Gassner 表現、Hecke 環の表現とも関連の深いLawrence-Krammer-Bigelow 表現などもこの方法を用いて構成出来ることが知られている。 一方、 複素平面上の n 点の順序付き配置空間の基本群は純ブレイド群となることから、この配置空間を定義域に持つ KZ type 方程式の解空間への純ブレイド群の作用はモノドロミー表現と関連付けられる。
本講演では、積分変換のオイラー変換の対応物として定義される Dettweiler-Reiter のコンボリューションを用いて Long−Moody 構成に改良を加え、Long-Moody 構成では失われている Fn の構造を保つような新しい表現を与える手法を紹介する。そして、今後期待される応用として Long-Moody 構成と KZ type 方程式のモノドロミー表現との関連に触れる。


世話人

 原岡喜重(熊本大学理学部)haraoka at kumamoto-u.ac.jp
 木村弘信(熊本大学理学部)
 松原宰栄(熊本大学教育学部)saiei at educ.kumamoto-u.ac.jp