アクセサリー・パラメーター(以下APと略記)は,Fuchs型微分方程式に現れる概念で,解の局所挙動からは決定できない係数というように定義されます.
APを持たないということは,方程式が局所挙動で決定されるということで,そのためいろいろなことが具体的に分かります(たとえば解の積分表示が構成できる).
APを持たない方程式にはGaussの超幾何微分方程式など重要なものがありますが,Fuchs型方程式はふつうはAPを含み,その場合には解の大域挙動を調べる一般的な手法はありません.
APを含む方程式は昔からいろいろな局面に現れていましたが,
特に最近,APを含む微分方程式に関わる具体的な問題が数論・微分幾何・表現論・数理物理などの分野から立ち現れてきたように感じられます.
一方で変形理論をはじめとする微分方程式論の進展もあり,それらの問題に取り組む環境が整いつつあるようにも思えます.
そこで
「それぞれの分野でどのような形でAPが現れ,それについてどんなことが分かり,どんなことが知りたいのか」
ということを突き合わせ,微分方程式論を含む多角的な視点で眺めてみようと考え,研究集会を企画しました.
数論,微分幾何,表現論,数理物理,微分方程式論などそれぞれの分野の専門家が,他分野の人にも分かるように解説や成果発表を行い,その交流を通して新しい認識を築いていきたいと思います.
関心のある方の参加を歓迎いたします.
日時・場所
2006年6月20日(火)10:30 〜 6月22日(木)17:00
熊本大学 大学院自然科学研究科 研究棟 3階 数理演習室
プログラム
6月20日(火)
- 10:30-12:00 原岡喜重(熊本大学・理)「概説」+「Rigidity for regular holonomic D-modules」
- 13:30-15:30 加藤文元(京都大学・理)「数論幾何学とアクセサリーパラメーター」
- 16:00-17:00 松本圭司(北海道大学・理)「三輪絡み目補空間の逆黒写像」
6月21日(水)
- 9:30-11:30 竹村剛一(横浜市立大学)「ホインの微分方程式のアクセサリーパラメーターとモノドロミー」
- 13:00-14:00 志賀弘典・筒井 亨(千葉大学・理)「Triangle Fuchsian differential equations with accessory parameters」
- 14:30-16:00 落合啓之(名古屋大学・多元)「非可換調和振動子に現れるHeunの微分方程式」
- 16:30-18:00 伊達悦朗(大阪大学・理)「Superintegrableなchiral Potts模型に関係して現れる多項式のみたす微分方程式等」
6月22日(木)
- 9:30-11:00 小林真平(東京電機大学)「平均曲率一定曲面と線形常微分方程式について」
- 11:30-12:30 木村弘信(熊本大学・理)「合流型Schlesinger系とtwister理論」
(この講演はキャンセルになりましたが,講演内容についてはこちらをご覧下さい)
- 14:00-16:00 田邊 晋(熊本大学・理)「Dwork cohomology概説」
- 16:10-17:00 金子譲一(琉球大学・理)「Selbergの極値問題について」
世話人
- 原岡喜重
- 熊本大学大学院自然科学研究科(理学部)
- E-mail:haraoka@gpo.kumamoto-u.ac.jp
- Tel:096-342-3323