ナノ構造化グラファイト中の水素のシミュレーション
最近、機械的ミリング処理などにより、グラファイト中に格子欠陥を積極的に導入すると、多量の水素が吸蔵されることが、
国内の実験グループにより報告されました。このような、格子欠陥という形でナノ間隙サイトを多量に含むナノ構造化グラファイトは、
環境負荷の小さい再生可能なエネルギーとして重要視されている水素の軽量な貯蔵媒体として、世界的に注目を集めてきています。
ナノ構造化グラファイトの水素吸蔵機構を考える上で、グラファイト中に導入される格子欠陥の構造的特徴および、
それと水素化、脱水素化のミクロな機構や水素の存在状態との関係を明らかにすることは、重要で非常に興味深い問題です。
ナノ構造化グラファイトは、カーボンナノチューブ等とは異なり、高度に乱れた構造を持ち、非周期的であるため、
理論的研究を行う際、大規模な系のモデルを考えなければなりません。そのため、通常のバンド計算的手法は用いることができず、
ハイブリッド法が強力な研究手段となります。
ナノ構造化グラファイトのモデルとして以下の二つの系を考え、ハイブリッド分子動力学シミュレーションを行いました。
真空中にあるグラフェンの端に導入した水素のシミュレーション
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上下を他のグラフェンにより挟まれたグラフェンの端に導入した水素のシミュレーション
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上の二つの図で、赤い球は第一原理的に扱う炭素原子を、青い球は古典的に扱う炭素原子を示す。黄色の球は、水素である。
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