液体Rb1-xTexの構造と電子状態の組成依存性
液体硫黄やセレンが低温において半導体的性質を示すことと対照的に、融点直上から金属的である液体テルルは、
液体カルコゲンの中でも特異な性質を持ちます。興味深いことに、液体テルルに、アルカリ元素を添加していくと、
金属的性質が失われ半導体になることが実験的に知られています。このようなアルカリ添加に伴う非金属化における、
ミクロな原子配置と電子状態の関係を調べるために、液体アルカリ・テルル混合系Rb1-xTexに対して、
第一原理分子動力学法による計算機シミュレーションを行いました。その結果、アルカリ添加に伴い、テルル鎖が安定化され、
平均鎖長が長くなると共に、テルルの金属的性質が失われていくことがわかりました。
このように、液体テルルの電子的性質は、鎖状構造の安定性と密接に関係しています。
液体Teの構造
基本的には2配位Teがつながった鎖構造であるが、
3配位Teもかなりの割合で存在する。
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液体Rb0.2Te0.8の構造
アルカリ添加に伴い、3配位Teの数が減少し、Te鎖が安定化する。
赤球:Te、緑球:Rb
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液体Rb0.5Te0.5の構造
Te22-ダイマーが液体中に安定に存在する。
赤球:Te、緑球:Rb
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