北別府 悠

熊本大学大学院先端科学研究部
基礎科学部門数学分野
准教授
教育研究分野:幾何学

専門分野:リーマン幾何学, 距離空間の幾何学
研究テーマ:測度距離空間の幾何と解析

リーマン多様体上で Ricci 曲率は接続や曲率テンソルといったものを通して定義されます. 大まかにいうとこれは二階微分までの情報から多様体の情報を得ようとしていることになります. しかし最近の研究によって微分を使わずに, Ricci 曲率が下に有界であるという概念を定義できることが明らかになりました. そのような空間を RCD 空間と言いますが, この RCD 空間の研究が本研究室の主たるテーマです.

1. 測度距離空間の正則性. 特に次元の一意性.

2. 特異空間上の曲率概念の正当性.

3. 測度距離空間上の位相幾何.


研究成果

1. RCD空間は正則集合と呼ばれる, 接錐がユークリッド空間になるような点でほとんどいたるところ覆われていることが知られている. 一般に接錐のユークリッド空間の次元が一意かどうかは未解決であるが, 一次元のユークリッド空間を接錐にもつ点が一点でも存在したらすべての正則点が一次元のユークリッド空間を接錐に持つことを示した. さらにそのような RCD空間の分類を与えた.

2. Ricci limit 空間と呼ばれる Ricci 曲率を下から抑えた多様体の極限空間には大きく分けて崩壊と非崩壊と呼ばれるクラスに分けられる. 非崩壊な Ricci limit 空間は崩壊している空間より研究がしやすいことが知られている. そこで非崩壊な Ricci limit 空間に対応する RCD 空間のクラスを与え, 基本的な性質を調べた.

論文リスト