期間:2月1日(月)~2月4日(木)
講師:筧 知之氏(筑波大学 数理物質系 数学域)
科目名:学部:数理科学特別講義H/大学院:数学特別講義G
題目:フーリエ級数と3次元球面上のシュレディンガー方程式
場所:Zoom
講義の概要:
本講義では、まずフーリエ級数に関する基礎事項を復習し、
次いで、S1(単位円周)上の超関数について解説する。
それらの準備の下で、まず、S1上の自由粒子に対する
シュレディンガー方程式の基本解を構成し、その基本的な性質を述べる。
特に、基本解の特異性について解説するつもりである。
そして、その結果を用いて、3次元球面S3上の自由粒子に対する
シュレディンガー方程式の基本解を構成し、詳しい性質を解説することを
最終目標とする。時間の余裕があれば、階数が高いコンパクト対称空間上の
シュレディンガー方程式についても言及したい。
予定
(1) フーリエ級数の基本的性質とポアソンの和公式
(2) S1上の超関数のフーリエ級数展開
(3) S1上のシュレディンガー方程式の基本解の構成
(4) S3上のシュレディンガー方程式の基本解の構成
(5) 奇数次元球面上のシュレディンガー方程式
およびコンパクト対称空間上のシュレディンガー方程式
期間:12月14日(月)~12月17日(木)
講師:島倉裕樹氏(東北大学大学院情報科学研究科)
科目名:学部:数理科学特別講義E/大学院:数学特別講義A
題目:「符号、格子、頂点作用素代数」
場所:Zoom
授業の目的:
符号、格子と頂点作用素代数は有限群論、代数的組合せ論、整数論などの分野
と 関連がある重要な対象である。本講義の目的は、これら三つの間の成り立
つ様々 な類似を理解することである。
講義の概要:
符号と格子の定義や性質を具体例を見ながら理解してもらう。さらに、基本的
な 符号と格子の性質を証明する。また、符号と格子の性質の間の類似の性質
を紹介 し、符号から格子の構成方法を与える。最後に、頂点作用素代数の定
義と性質を 説明し、符号、格子と頂点作用素代数の間の類似を紹介する。
詳しくはシラバスをご覧ください。
期間:11月30日(月)~ 12月4日(金)
講師:橋本 英哉 氏 (名城大学理工学研究科数学専攻)
科目名:学部:数理科学特別講義G / 大学院:数学特別講義C
題目:Hurwitzの定理と多元環の幾何学への応用 例外型単純Lie群 $G_2$ からのLie群入門
場所:理学部1・2号館C226 (11/30~12/3)、理学部3号館D201 (12/4)
講義の概要:
最初に Hurwitz の定理について紹介する。
(分配則を満たす) normed division algebra の分類についてである。
正値対称 2 次形式 (通常の正値内積) から定まるnormed division algebra は、
実数、複素数、四元数、八元数 (ケーリー代数) に限る。(本質的に同型である。)
四元数のもう一つの一般化として Clifford algebra がある。
これらの代数構造の自己同型写像全体のなす群の一つとして
例外型単純 Lie 群 G_2 が得られる。
さらに、Jordan 環の理論を用いると球面内の Cartan hypersurfaces (主曲率 3種)
と Hurwitz の定理が自然に関連していることから 14 次元例外型単純 Lie 群G_2
の一般化として 52 次元例外型単純 Lie 群 F_4 の定義が得られる。この構成の背景を
Chevalley-Schafer の論文 The exceptional simple Lie algebras F_4 and E_6 と比較し
Cartan hypersurface とどの様に関連しているか、について講義する予定である。
講議内容
1. normed division algebra の基本性質
(1) Cayley-Dickson process と Hurwitz の定理
(2) normed division algebra の自己同型群
2. 複素構造と概複素構造に関する基礎的な話
(1) 2 次元球面 S^2 上の複素構造の外積による定義
(2) 6 次元球面 S^6 上の概複素構造の外積による定義
3. 例外型単純 Lie 群 G_2 の定義と基本性質
(1) G_2 の Moving frame method による表示とその Maurer-Cartan form
(g_2 に値を持つ left invariant 1-form )
(2) G_2 の構造方程式とその応用
4. Hurwitz の定理と 4 種の Hopf fibrations, Cartan hypersurfaces
(1) 4 次元球面 S^4 内の Cartan hypersurface (主曲率 3 種)と Hopf fibration
(2) 球面内の Cartan hypersurfaces (主曲率 3 種)と Hopf fibrations (Jordan 環の導入も)
(3) 例外型単純 Lie 群と Cartan hypersurface
5. Appendix
(1) 対称空間と随伴表現, Cartan hypersurfaces との関連
(2) Cartan imbeddings について
期間:11月16日(月)~11月19日(木)
講師:松尾厚氏(東京大学数理科学研究科)
科目名:学部:数理科学特別講義F/大学院:-
題目:「リー代数と頂点代数」
場所:遠隔(Zoom 使用)
講義の概要:
授業の目的:頂点代数および頂点作用素代数は、1980年代中頃に定式化された比較的新しい概念だが、数学および物理学のさまざまな分野と密接な関係があり、広汎な応用を持つ。数学においては、アフィン・リー代数のある種の表現の性質を公理化したものと位置付けられ、その自己同型群としてさまざまなリー群や興味深い有限群が現れる。
特に、アフィン・リー代数に附随する場合には、Knizhnik-Zamolodchikov 方程式(KZ方程式)と呼ばれる著名な微分方程式を通じてトポロジーとも関係している。この授業では、このような広汎な応用を持つ頂点代数および頂点作用素代数の基礎理論を学ぶ。
授業の概要:アフィン・リー代数の表現から説き起こし、頂点代数とはどのようなものか説明したのちに、頂点代数の典型的な例である格子頂点代数について述べる。また、アフィン・リー代数の表現に附随する頂点代数についてあらためて論じた後、頂点作用素代数とその上の加群について説明する。応用として、頂点代数の立場からKZ方程式を導出し、その解の積分表示を構成する。