集中講義の記録

2019年度

期間:12月2日(月)~12月6日(金) 講師:小川 卓克氏(東北大学) 科目名:学部:数理科学特別講義E/大学院:数学特別講義A 題目:偏微分方程式の初期値問題の正則性 場所:理学部3号館4階 D401 【教室変更しました!】 講義の概要: 1.熱方程式の初期値問題と最大正則性(基本的な函数空間)
2.有界平均振動函数(BMO)の性質
3.John-Nirenbergの定理,Fefferman-Steiの定理
4.特異積分作用素
5.熱方程式の最大正則性(Koch-Tataruの定理)
6.BMOにおける最大正則性と最良性
7.応用

期間:12月3日(火)~12月6日(金)いずれも4,5限 講師:加藤文元氏(東京工業大学) 科目名:歴史に学ぶ数学 題目: 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講義の概要: ユークリッド幾何学成立から非ユークリッド幾何学の発見に到る歴史に特に注目しながら、 古代から19世紀までの数学史を (a)技術および方法論(b)思想的特性(c)担い手の社会的階層(d)社会的背景の変遷 といった観点から概観する。多くの問題例や一次資料の検討を通して、各時代・地域に おける数学のあり方を鳥瞰し、数学史の技術史・思想史としての理解を目指す。同時に、 現代数学における様々なものの見方や数学的技術などの立脚点や数学的意義についても 目を向けることで、現代数学に対する一定の視角を得ることも目指したい。

期間:11月11日(月)~11月15日(金)
各日2,3限の予定(初日2限開始は確定です)
講師:加藤晃史氏(東京大学) 科目名:学部生:数理科学特別講義A(2単位)/ 修士:数学特別講義D(2単位) 題目:場の量子論入門 場所:理学部3号館4階 D401 講義の概要: 場の量子論や統計力学模型といった数理物理的枠組みは、 自然現象をモデル化する過程で開発されてきた手法であるが、 純粋に数学的な問題にも役立つことが多い。 本講義では、量子化の手法として発展してきた場の量子論の 分配関数の考え方が、数学の諸分野、特に表現論・組合せ論・ 幾何学などと関わる様子を、具体例を挙げていくつか紹介する。 最初に経路積分による量子化について概観したあと、分配関数の 計算法や性質について摂動展開、行列模型、共形場理論、超対称 ゲージ理論、位相的場の理論などを題材として議論する。時間が あれば低次元トポロジーや安定性条件との関わりなどについても触れたい。

期間:日時:10月28日(月)2限~10月31日(木)
10月28日(月)の2限に開始,そこで開講時限を決めます
講師:岩崎克則氏(北海道大学) 科目名:学部生:数理科学特別講義H(1単位)修士:数理工学特別講義A(1単位)
(科目設定の作業中ですので,正式には講義のときに説明します)
題目:パンルヴェ方程式の力学系 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講義の概要: 複素領域における線形微分方程式として著名なものに、 超幾何方程式がある(原岡先生や木村先生のご本を参照)。 パンルヴェ方程式は、超幾何方程式の非線形化にあたる 微分方程式である。超幾何方程式の解の多価性や大域的 なふるまいは、線形のモノドロミー変換で表される。 パンルヴェ方程式では、それが非線形変換となるが、 非線形性のために挙動はより複雑なものとなる。 そこで、非線形モノドロミーの力学系的な性質を調べ、 そのカオス性を明らかにする。これは線形の場合には なかったことである。数学的には、微分方程式、力学系、 代数幾何などの分野が交錯するが、その概要をなるべく やさしいことばで解説するのが、この講義の目的である。

期間:2019年7月16日(火)~7月19日(金) 講師:岩木耕平氏(名古屋大学) 科目名:学部 数理科学特別講義F/大学院 数学特別講義B 題目:位相的漸化式とPainlevé方程式 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講義の概要:Painlevé方程式は、100年以上前にPainlevéとGambierによる分類の中で見出された、とある非線形常微分方程式たちの総称である。モノドロミー保存変形を通じて、Painlevé方程式は線形常微分方程式の大域的な問題に帰着されるが、アクセサリー・パラメータの研究が困難であるが故に、未だPainlevé方程式の一般解の解析的性質が解明されたとは言い難い。本集中講義では、主に Painlevé I 型方程式に着目し、位相的漸化式と呼ばれる手法を通じて一般(形式)解の構成方法を解説し、さらに完全WKB解析を通じたモノドロミー保存変形への応用(予想)について述べる。

期間:2019年4月15日(月)~4月18日(木) 講師:權業善範氏(東京大学) 科目名:(修士)数学特別講義C,(学部生)数理科学特別講義G 題目:Borisov--Alexeev--Borisov予想の証明について 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講義の概要:アブストラクト:2016年にCaucher BirkarがBorisov--Alexeev--Borisov予想(略してBAB予想)の証明を発表した。BAB予想とは特異点付きのファノ多様体の有界性についての予想であり、その証明には対数的閾値の上昇性などを含む高次元双有理幾何学の最先端の技術がふんだんに使われている。この講義ではそれらの定理たちがどのように絡みあって証明されていくかを時間の限り解説していく。