談話会の記録

2021年度

日時:2022年1月18日(火)16:30-17:30 場所:熊本大学理学部3号館 D-401 講演者:荒川知幸氏(京都大学数理解析研究所) 題名:「4D/2D双対性と表現論」 概要:近年、Beem等によって四次元の場の量子論と二次元の共形場理論との
関係を与える4D/2D双対性が発見され世界的に注目されている.
この講演では4D/2D双対性と表現論との関わりを、例を中心に説明する.

日時:2022年1月11日(火)16:30-17:30 場所:熊本大学理学部1,2号館 C-227 講演者:藤田直樹氏(熊本大学理学部) 題名:「旗多様体の Newton-Okounkov 凸体」 概要:トーリック幾何はトーリック多様体の幾何学と凸多面体の組合せ論を結ぶ架け橋であり,
凸多面体の理論からトーリック多様体の幾何学的性質を引き出したり,
逆に幾何学的考察から凸多面体に関する定理を示すことができる.
代数多様体からトーリック多様体への退化をトーリック退化といい,
トーリック退化を通してトーリック幾何のより一般の代数多様体への応用が与えられる.
トーリック退化を構成するための一般的な枠組みの一つが Newton-Okounkov 凸体の理論であり,
様々な研究者が特定の多様体の Newton-Okounkov 凸体を具体的に記述する研究に取り組んでいる.
本講演では Newton-Okounkov 凸体の基礎理論について説明した後,
旗多様体の Newton-Okounkov 凸体に関する近年の研究を講演者の研究を交えて概説する.


日時:12月22日(水) 16:30-17:30 場所:熊本大学理学部3号館 D-201教室 講演者:中筋麻貴氏(上智大学理工学部) 題名:Schur 多重ゼータ関数のPieri公式と大野関係式 概要:Euler-Zagier型の多重ゼータ関数の一般化として導入した
Schur多重ゼータ関数は,Schur関数の類似の構造を持つ多重ゼータ関数であり,
semi-standard Young tableauxと呼ばれる組合せ論的対象物に渡る和で定義される.
先行研究より,Schur多重ゼータ関数の性質として,ある条件のもとで
Jacobi-Trudi型の行列表示が成り立つことが知られている.
本講演では,この行列式表示を拡張することにより,Schur多重ゼータ関数の
ある種のPieri公式が得られることを紹介する.
また,同行列式表示を応用することによって,Schur多重ゼータ関数の
双対公式とその拡張である大野関係式が得られることを紹介する.
本講演の前半は武田渉氏(東京理科大学)との共同研究に基づき,
後半は大野泰生氏(東北大学)との共同研究に基づく.

日時:2021年6月3日(木) 16:30~17:30 場所:熊本大学理学部3号館 D-201教室 講演者:永沼伸顕氏(熊本大学工学部) 題名:非整数Brown運動により駆動される確率微分方程式に関するいくつかの研究 概要:非整数Brown運動とは通常のBrown運動のGauss性に注目した拡張のひとつであるが, マルチンゲール性やMarkov性を持たず従来の確率解析の枠組みでは扱いにくい対象であった. 特に通常のBrown運動より連続性が悪い場合にはラフパス解析の登場まで本格的な研究が なされなかったと言える. 本講演では,ラフパス解析を用いて定式化される非整数Brown運動により駆動される 確率微分方程式の近似解の収束性や解の性質などについて,分野の概観に触れながら述べたい.

日時:2021年5月27日(木) 16:30~17:30 場所:熊本大学理学部3号館 D-201教室 講演者:貝瀬秀裕氏(熊本大学理学部) 題名:経路依存系の最適制御における動的計画法とHJB方程式 概要:マルコフ的な系とは異なり、経路依存系の最適制御では 半群性に基づく動的計画法が直ちに使えない。 本講演では、経路依存決定論的制御問題に対する経路依存動的計画法の考え方と それから導出されるHamilton-Jacobi-Bellman (HJB) 方程式を紹介する。 時間が許せば、最近研究を進めている非整数階微分方程式で支配される系の 最適制御に対する動的計画的アプローチについても触れる。