談話会の記録

2019年度

日時:2019年12月4日(水) 16:30~17:30 場所:理学部3号館4階 D401 講演者:小川 卓克氏(東北大学) 題名:Keller-Segel方程式の移流拡散方程式への特異極限について 概要:Keller-Segelによって与えられた反応拡散方程式系であるKeller-Segel 方程式は, しばしばその化学物質の移動速度が生物のそれよりもずっと 遅い, いわゆる移流拡散方程式で近似される. この近似はKeller-Segel系 の特異摂動と認識されるが, 臨界空間での収束は, 従来, 小さい初期値に のみ示されていた. ここではスケール臨界型Lebesgue-Bochner空間に おける漸近収束を示し, 大きな初期値に対しても同様な収束が 可能であることを示す. 黒木場正城氏(室蘭工大・工)との共同.

日時:2019年11月13日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講演者:加藤晃史氏(東京大学) 題名:力学の変遷 -古典・量子・弦- 概要:本講演では、物理学、特に力学の発展に焦点を絞って、Galilei, Newton の時代から人類が自然をいかに数学的に解読しようと苦闘してきたかを振り返るとともに、量子化の問題と弦理論の関係などの今後の課題にも思いを馳せたいと思います。

日時:2019年10月30日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講演者:岩崎克則氏(北海道大学) 題名:超幾何群が生成する格子について 概要:超幾何群 H とは、高階超幾何微分方程式のモノドロミー群と して現れる行列群である。ある条件の下で、超幾何方程式の 基点における局所解の空間は H 不変非退化エルミート形式を 持ち、さらに偶のユニモジュラー格子 L を含む。この講演 では、格子の指数を、我々がクラスターと呼ぶものを用いて 表す公式を与える。この公式を用いて、特に L が K3 格子 に同型になる例を与え、力学系への応用を考える。

日時:2019年7月17日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講演者:岩木耕平氏(名古屋大学) 題名:完全WKB解析とその周辺 概要:Voros により創始された完全WKB解析は、Planck定数のような小さなパラメータを含む特異摂動型の微分方程式に対する解析手法の一つであり、特にモノドロミーの計算などの大域的な問題に対して非常に有効である。本講演では、完全WKB解析の理論の概要を述べた後、クラスター代数や位相的漸化式などの別の研究分野との関係について概説する。

日時:2019年4月17日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟3階 数理演習室DC301室 講演者:權業善範氏(東京大学) 題名:極小モデル理論について 概要:アブストラクト:極小モデル理論とは双有理幾何学とは代数多様体を双有理的building blockに分解する理論である。1980年代に確立した代数多様体に対する三次元極小モデル理論の高次元化を解説し、自分の研究成果を交えて、その応用およびこれからの展望の話をする。あまり込み入った証明の話はしない予定である。