談話会の記録

2017年度

日時:平成29年6月14日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟301室(数理演習室) 講演者:本多正平氏 (東北大学) 題名:空間が近いと色々近い 概要:コンパクトな距離空間X, Yを二つ持ってくると,その間のグロモフ・ハウ スドルフ距離と呼ばれる非負実数が定まる.それが0であることと,XとYが等長 的であることは同値である.またこの距離は,コンパクト距離空間全体からなる モジュライMに完備な距離を与えることも知られている.このモジュライ空間は 大きすぎるので,「リッチ曲率が下に有界」というクラス(Mの部分集合)Nに制 限して物事を考える.このNの研究は近年爆発的な発展を見せている.本談話会 では,N上の(非自明な)連続関数をたくさん作る方法について紹介する.キー ワードは関数解析と,偏微分方程式と熱流である.

日時:平成29年8月9日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟301室(数理演習室) 講演者:庵原謙治氏(リヨン大学) 題名:Temperley-Lieb 代数 versus Virasoro 代数 概要:1980年代前半頃に, V. F. R. Jones は Temperley-Lieb 代数と Virasoro 代数の間に奇妙な類似性がある事を発見した。この関係は 1990年代以降、数理物理や作用素環の関係者の興味を惹くのであるが、 未だに`解った’と思わせる結果が存在しないように思える. この講演では, 最近の G. Lehrer 及び R. Zhang との共同研究で得られた結果や関連する話題 について述べる.

日時:平成29年10月25日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟301室(数理演習室) 講演者:石毛和弘氏 (東北大学 教授 理学研究科数学専攻) 題名:放物型方程式の解の凸性について 概要:熱方程式の解の凸性の研究は、Brascamp-Lieb (’76), Korevaar (’83) らの研究を契機に盛んに研究されてきた。 本講演では、Paolo Salani 氏、または中川和重氏らのと共同研究によって得た放物型方程式系の解の凸性に触れながら 放物型方程式の解の凸性の研究の現状について概観する。 写真は集中講義(10/26)です.

日時:10月30日(月)午後2時30分より (通常の談話会と曜日時間帯が異なります) 場所:自然科学研究科棟 301室(数理演習室) 講演者:横山俊一氏(九州大学 数理学研究院) 題目: 計算代数システム Magma 入門 概要: Magma とは、豪シドニー大学を中心として運営・開発が 進められている計算代数システムのことである。 90年代に開発されていた Cayley というシステムを引き継ぎ、 圏論に基づいた設計であることから、主に数論・群論・計算代数に 特化したシステムとなっている。 この講演では、Magma の基本的なチュートリアルを通して その長所・短所や、講演者の研究への活用事例などを紹介する。 (学部代数学の予備知識以外は仮定しません)

日時:平成29年11月13日(月) 16:30--17:30 (いつもと曜日が異なりますのでご注意ください。) 場所:自然科学研究科研究棟301室(数理演習室) 講演者:松村 昭孝氏 (大阪大学名誉教授) 題名:粘性気体の一次元運動の漸近挙動 概要:粘性気体の空間一次元モデルに対する初期値問題を取り上げ、その時間大 域解の漸近挙動を非粘性部分に対するリーマン問題との関連で概観する。特に、 証明の主たる手法であるエネルギー法について、粘性接触波の漸近安定性の議論 を例にとり紹介する。

日時:平成29年12月6日(水) 16:30~17:30 場所:自然科学研究科研究棟301室(数理演習室) 講演者:大橋久範氏 (東京理科大学) 題名:エンリケス曲面の自己同型について 概要:エンリケス曲面の自己同型についてはBarth-Peters, Dolgachev, Kondo, Mukai-Namikawaらによる興味深い研究が80年代から行われていたものの、K3曲面におけるような有限自己同型群の一般論は今まで行われてこなかった。この談話会では、エンリケス曲面の位置づけから始めて、(non-)semi-symplecticな有限自己同型群の分類についての最近の結果を紹介したい。