談話会の記録 |
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熊本大学数学談話会
会場:大学院自然科学研究科棟数理演習室301
時間:午後4時30分〜午後5時30分
この談話会は プロジェクトゼミナールと一環しています.
2010年度
日時:12月22日(水)
講演者:斉藤 正顕 氏 (工学院大学)
題目:グラフの edge zeta 関数とその応用
アブストラクト: 有限連結グラフに対し,Ihara zeta 関数の多変数関数への拡張として, Stark と Terras は, 1996 年に edge zeta 関数を定義した. edge zeta 関数はグラフの素サイクルに関するオイラー積で定義され,その逆数は directed edge matrix という行列の入った行列式で与えられる. 本講演では, 講演者が得た directed edge matrix に関する新しい公式を紹介し, 合わせて edge zeta 関数の行列表示に関する最近の話題を紹介する. また, edge zeta 関数の応用として, 2004 年に, Koetter, Li, Vontobel, Walker らが定義した LDPC 符号の擬似符号語(pseudocodewords)のゼータ関数を紹介する.
日時:12月15日(水)
講演者:川島 秀一 氏 (九州大学大学院理学研究院)
題目:Recent progress on the stability analysis for symmetric
hyperbolic systems
アブストラクト: 対称双曲系の消散構造とそれに基づく安定性の理論は 1980 年代に確立された. 近年、その一般論が適用できないいくつかの興味ある例が注目を集めている. それらの例を含む一般論の再構築に関する最近の取り組みについて解説する.
日時:12月1日(水)
講演者:桂田 英典 氏(室蘭工業大学・ひと文化系領域)
題目:Hermitian Ikeda liftの周期について
アブストラクト: 整数重さまたは半整数重さのelliptic modula form fから他のmodular form (Siegel modular form, Hermitian modular form)へのリフト Fに対して fの周期(Petersson内積)とFの周期の比をfに付随するL関数の特殊値で 表すことは保型形式論にとって興味深くまた重要な問題である. 本講演者は3年前に河村尚明氏とともに半整数重さのelliptic modular formの Siegel modular formへのリフトであるDuke-Imamoglu-Ikeda liftの周期に関す る池田保氏の予想を解決した. さて,池田氏は整数重さのelliptic modular form からHermitian modular formへ のリフト(これをHermitian Ikeda liftと呼ぶ)も構成し,その周期に関して上 と同様の予想を提出している.本講演ではその予想の解決について述べる. また,そのadelic versionについても考察する.
日時:11月17日(水)
会場:理学部3号館4階 共同研究室 (いつもと異なります)
講演者:吉田 善章 氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
題目:特異性としての渦について
日時:11月10日(水)
講演者:中西 敏浩 氏(島根大学)
題目:穴あき曲面群の表現空間と不定方程式の整数
アブストラクト: 穴あき曲面群のSL(2,C)-表現空間にある大域座標系を導入する. この座標系によって写像類群が有理変換のなす群として表現できることを 利用した双曲3次元多様体の具体例の構成や不定方程式の整数解 (マルコフの方程式の整数解の一般化)などへの応用のいくつかを紹介する.
日時:6月23日(水)
講演者:筧 三郎 氏(立教大学)
題目:AKNS-ASDYM階層とパンルヴェ方程式
アブストラクト: パンルヴェ方程式をソリトン方程式の相似簡約として理解する試みは, これまでに数多く行われてきた.これまでは,個々の方程式それぞれに 対して個別の研究が行われてきたが,今回は「AKNS-ASDYM階 層」という 非線形方程式の階層から出発することで,パンルヴェII型方 程式からVI型 方程式までを,一度にとらえられることを紹介する.
日時:6月2日(水)
講演者:土屋 昭博 氏(東京大学)
題目:非半単純共形場理論
アブストラクト: アファイン・リー環の可積分表現やヴィラゾロ代数の極小表現に 付随する共形場理論は、種数の高いリーマン面上に理論が展開さ れ、面白い性質をたくさん持っている.この理論は、表現のつくる アーベル圏が半単純であり、既約表現の数が有限個という強い性質 を持っている. 表れる表現のつくるアーベル圏は、アルディかつネーターであ り、表れる既約表現の数は有限個であるが、アーベル圏としては半 単純とは限らない場合に高い種数のリーマン面上に共形場理論を展 開するという講演者の最近の結果について話をする. この共形場理論は、Log 共形場理論とも呼ばれ、物理等に おいても研究が活発化してきている.