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第14回物理学ゼミナール(プロジェクト・ゼミナール)
[日時]  平成19年10月25日(木) 16時10分より
[場所]  理学部2号館1階大講義室(C122室)
[講師]  西田 昭彦 教授(福岡大学 理学部 応用物理学科)
[演題]  高温超伝導体における特異な磁束構造とそのゆらぎ
概要:20年前に液体窒素温度を越える転移点を持つ高温超伝導体が発見されたときには、超伝導の普及が大きく進むと期待されたが、現在実用化されている超伝導体は、まだほとんどが極低温で動作する従来型の超伝導体である。その原因の一つは、高温超伝導体を貫く磁束が持つ特異な構造と性質にある。即ち、超伝導層と常伝導層が交互に積み重なった2次元構造と、高い動作温度での熱エネルギーのために、高温超伝導体を貫く磁束は大きな「ゆらぎ」を示しやすいのである。高温超伝導体の実用化には、このゆらぎの克服が必要な一方で、純粋物理学の立場からみると、このゆらぎは豊富で新しい研究テーマを提供してくれるものでもある。
講演者は高温超伝導体中で磁束が示す特異な振舞いを、マイクロ波を用いた動的な測定手法で研究してきた。講演では、高温超伝導体の構造や混合状態について一般的に認められている内容を概観した後、これまでの実験結果を含めて、高温超伝導体中の磁束システムの特異性について紹介する。