purescience
第12号 2017年11月
巻頭言
理学部長 市川 聡夫
「Pure Science」第12号をお届けいたします。熊本大学理学部の教員がそれぞれの分野の研究について、高校生や大学初年次の理系学生向けに分かり易く説明し、研究の醍醐味や面白さを紹介しています。皆さんが「Pure Science」を通して、理学研究に興味や関心を持って頂ければ幸いです。
第12号も5つの研究分野の先生に執筆をお願いしました。是非、ご自分の興味ある研究分野だけでなく、全ての分野をお読みいただければと思います。理由の1つは、研究の面白さは他の研究分野にも共通するからです。西山先生の「ヒスイを追って:石と人の邂逅」は、少年のころと大学の地学研究部での思い出を通して、研究に興味を持ったきっかけや醍醐味を紹介されています。2番目の理由は、理学研究は分野を超えて関連していることを知っていただきたいからです。三沢先生の「偏微分方程式の数学」は、針金の温度分布の数理モデルが偏微分方程式であることを通して数学と物理の関係を述べられています。小澄先生の「光合成と物理学」と武智先生の「植物の葉緑体の進化と細菌の細胞壁ペプチドグリカン」を見比べることで、光合成が行われている葉緑体に関する研究が別の視点で研究されていることが分かります。3番目の理由は、理学以外の研究分野とも関連していることも紹介したいからです。石川先生の「自然界から見出される医農薬候補化合物を合成する」は、医農薬化合物を化学合成し、供給する研究を紹介されています。
「Pure Science」を通して、研究の分野を超えた広がりや、先生方の研究に対する情熱を感じとって頂ければと思います。多角的な視点を持ち、新しい研究分野を想像する、次世代を担う理学研究者が誕生することを期待します。