出前授業

熊本大学理学部への
出前授業の申し込みについて

 熊本大学理学部では平成28年度から熊大共通の申込フォームから出前授業を申し込めるように致しました。以下の点にご留意の上,お申込み下さい。

申込にあたり留意して頂きたい事項

  • 実施希望日の1か月前までに(できれば2か月前を目途に)お申し込み下さい。
  • 原則として,講師の派遣に要する旅費については,派遣希望の高校で負担をお願いします。なお,近郊の高校であればご相談に応じます。
  • 業者が企画している出前授業には協力しかねます。
  • 熊本大学高大連携室の「出前授業申込フォーム」より申請して下さい。
  • 以下に出前授業のテーマ例をコースごとに記載しています。希望されるテーマを選んで,申込フォームの学科にコース名を,分野にテーマ名と担当教員名をご記入下さい。テーマが絞れない場合は,コース名だけの記載でも結構です。
  • 第二,第三希望は記載されなくても結構です。
  • 既に教員と個別に連絡をとり,内諾を取っている場合は,備考に「内諾あり」と書き,コース名,教員氏名を第一希望に記載して下さい。

理学部出前授業テーマ例

A. 数学コース,B. 物理学コース,C. 化学コース,D. 地球環境科学コース,E. 生物学コース

A. 数学コース

No. 授業担当者 タイトルおよび概要
A-1 杉崎 文亮 無限の摩訶不思議  有限と無限の違いを集合を使って解説します。常識的には不可能と思えることが無限集合では起こることを体験できるはずです。また「選択公理」と呼ばれる直感的に当たり前だと思える事を説明し、しかしそれを認めるととんでもないことが起こりえることもお話しします。
A-2 杉崎 文亮 線分比と物理の意外な関係  三角形を土台にして,そこに現れる線分比を計算することは中学時代(平行補助線を引く),高校時代(ベクトルを使う)でやっていると思います.またチェバの定理、メネラウスの定理を用いて線分比を計算することも可能です.この講義では物理の現象を用いて線分比を鮮やかに求めることを目標にします.数学と物理のコラボレーションを楽しんで下さい.
A-6 山田 裕史 肩ロースの数学  3つの変数a,b,c の積をとることを考える.3つ一遍に掛けることはせずに,2つずつ順番に掛け合わせると(ab)c,a(bc),つまり掛け算の仕方は2通り.この状況をC(2)=2とあらわす.おなじことを4つの変数でやってみると5通りの仕方がある.すなわちC(3)= 5. 一般にC(n)がどのような数になるか考えてみよう.
A-7 山田 裕史 分割数の数学  たとえば自然数4を自然数の話で書くことを考える.4=3+1=2+2=2+1+1=1+1+1+1。足す順番の違いを無視すれば5通りの方法がある.この状況を p(4)=5 と表す.一般に p(n) はどういう性質を持つか調べていこう.
A-8 山田 裕史 素数は無限個ある  素数とは1と自分自身の2つだけを正の約数とする(2以上の)自然数のことである.すでに紀元前にユークリッドにより素数は無限個あることが示されている.この事実を少し高度な数学をもちいて眺めていきたい.
A-9 山田 裕史 数えられる無限と数えられない無限  整数は無限個ある.有理数も無限個ある.直感的に有理数は「ぎっしり」詰まっているような気がする.つまり異なる2つの有理数の平均は再び有理数なので,整数よりもはるかにたくさんあるような気がする.しかし集合論の立場からは整数と有理数は同程度の無限個であるということを伝えたい.また同程度ではない無限もあるという話もしたい.
A-10 山田 裕史 オイラーの数学  レオンハルト オイラー(1707−1783)はスイス生まれの数学者である.数学の様々な分野において先駆的な研究をおこなっており,現代数学で「オイラーの***」と呼ばれる公式,概念は非常に多い.そのいくつかを紹介したいと思う.

B. 物理学コース

No. 授業担当者 タイトルおよび概要
B-1 市川 聡夫 超伝導でみえる量子の世界  原子スケールで観察される量子の世界が、超伝導では私たちが認識できるマクロなスケールでも観察できます。温度とは何か?から始めて、低温における物理現象と一緒に、これらの現象を紹介します。
B-2 原  正大 ナノスケールの物理  パソコンやスマートフォン等の電子機器は、肉眼では見えない小さな電子部品により構成されており、それらの挙動は「ナノスケールの物理」により支配されている。人類はどのようにして、ナノスケールの世界を理解し、制御することが出来るようになったのか、歴史的な背景も含めて紹介する。
B-3 細川 伸也 シンクロトロン光の発生とその利用  シンクロトロン光(放射光)は高速に近い速度で真空中を走る電子が磁場によって曲げられる時に発生するX線から赤外光まで、さまざまな波長(エネルギー)を持つ高輝度でレーザーのような指向性のある光である。現在、SPring-8をはじめとして日本では8つの施設が稼働しており、九州地区でも佐賀県が鳥栖市に九州シンクロトロン光研究センターを所有している。授業では、シンクロトロン光が発生する原理を簡単に説明した後、シンクロトロン光が持つさまざまな特長と、それを利用した学術研究や産業利用の現状について、例を挙げながら紹介する。
B-4 矢嶋  哲 E = mc2 の導き方  アインシュタインが与えたエネルギーの公式“E = mc2”を数式を用いて導き出す。(90分程度)
B-5 下條 冬樹 コンピュータで見るミクロな世界  コンピュータシミュレーションで解き明かされた固体や液体の中の原子や電子の動きをコンピュータグラフィックスを用いて解説します。
B-6 高橋 慶太郎 宇宙の始まりにせまる  宇宙はどのようにして始まり、今後どうなっていくのか。このような問いはかつては哲学で扱われましたが、20世紀の物理学の革命により科学的に研究できるようになりました。授業では、宇宙の始まりを記述するビッグバン理論について平易に解説します。
B-7 高橋 慶太郎 人類はついにブラックホールを見た  ブラックホールはSFや想像上の天体ではなく、この宇宙に実際に存在します。そして最近ついにブラックホールの画像も得られました。真っ黒なはずのブラックホールをどのようにして見つけることができるのか、またブラックホールはどのようにしてできたのか、最近の研究について解説します。
B-8 高橋 慶太郎 地球外に生命はいるか  この問題は人類にとって大きな謎でありこれまで空想やSFで扱われてきましたが、近年ようやく科学的なテーマとして研究されるようになってきました。太陽系探査や最先端の観測技術によって地球に似た環境を持つ惑星、生命がいるかもしれない天体などが続々と見つかっています。この授業ではこうした研究について紹介し、地球外の生命に思いを馳せます。

C. 化学コース

No. 授業担当者 タイトルおよび概要
C-1 西野  宏 有機化学の世界 -未知有機化合物を創るおもしろさ!-  化学は自然界全体を物質という視点で捕らえる学問です。特に、有機化学では結合の手を4つ持つ炭素を中心にした化合物を扱います。地球上に棲んでいるすべての生物は有機化合物の集合体であり、有機化合物の性質を研究することは生命現象の理解につながります。講義では、有機化学は何が面白いのか?これまで人間社会に何をし、これから何ができるのか?新しい有機化合物を創ることは何に役立つか?などをお話します。また、理学のおもしろさ、工学・薬学・医学との違いにも触れます。
C-2 西野  宏 自然にある身近な有機化合物  化学は自然界全体を物質という視点で捕らえる学問です。特に、有機化学では結合の手を4つ持つ炭素を中心にした化合物を扱います。地球上に棲んでいるすべての生物は有機化合物の集合体であり、有機化合物の性質を研究することは生命現象の理解につながります。講義では、身近にある自然の中の有機化合物をいくつか紹介し、人間との関わりなどをお話します。また、理学のおもしろさ、工学・薬学・医学との違いにも触れます。

D. 地球環境科学コース

No. 授業担当者 タイトルおよび概要
D-1 横瀬 久芳 ポイ捨てが引き起こす海洋汚染  海洋環境の汚染は、陸上に住む人類の何気ない行動によって進行していきます。本講義では、人間生活と海洋汚染の因果関係を海洋学的視点から解説します。
D-2 横瀬 久芳 深海魚はどうしてあのような形になったのか  深海魚は奇抜な形をしています。どうして、彼らはあのような形になったのでしょうか?講義では、海の持つ海洋物理学的特徴と深海魚の形態上の合理性に関して解説します。
D-3 磯部 博志 地球とは? 宇宙のどこかにもう一つの地球はあるだろうか  地球は、我々にとって身近な、「当たり前」の惑星です。しかし、この宇宙の中で、地球は本当に普通の星でしょうか。急速に進みつつある探査、観測によって明らかとなってきた太陽系の各惑星、さらには太陽系の外に存在する惑星の姿との比較を通して考えてみましょう。
D-4 磯部 博志 地球・太陽系と宇宙の時間・空間スケール そして人類  地球・太陽系と宇宙のスケールを、空間の広がりと歴史の長さを尺度に具体的に比較します。これらを通じて、地球に人類が暮らすことの意味と、その存在がどのような背景に支えられているのかについて考えます。
D-5 吉朝  朗 ダイアモンドとルビーの科学、そして先端技術  ダイアモンドやルビーには不思議な性質があります。七色に輝く石、赤や青と見る方向で色が変わる石、身の回りの石には不思議な性質があります。身の回りの鉱物や人工鉱物に実際に触れて、科学する楽しみや重要性を学んでみよう。
D-6 吉朝  朗 鉱物の研究から見える持続可能文明への道  たたけば光る石、赤や青と見る方向で色が変わる鉱物、ダイアやルビーにも不思議な性質があります。エネルギー変換材料や省エネの基盤技術としての結晶合成など、開発が急がれているものもあります。熊本で発見された鉱物は「生命の起源」解明に役立っています。今、「持続可能文明」の創造が必要です。身の回りの鉱物や人工鉱物に実際に触れて、の科学する楽しみや重要性を学んでみよう。
D-7 吉朝  朗 地球環境の変動、救えるか人類の絶滅  このままの生活を続け、浪費社会を続けていると30年後には、文明が崩壊し、人類絶滅に至る可能性があります。本来の地球の気候は温厚なものではなく、人間活動は、眠れる野獣を棒でつつく様なものであることが、科学的に明らかにされてきました。人類を救うのは、熊本の文化かもしれません。
D-8 吉朝  朗 寺田寅彦の遺産:熊本大学の最先端技術と物質研究  寺田寅彦は旧制5高出身で、東大・理学部教授を勤め、結晶にX線をあてると回折現象を起こすことをノーベル賞受賞者より早く世界に知らしめた偉人です。自然現象の科学的理解に多方面の業績を残し、彼の弟子には水晶研究の古賀や雪研究の中谷、空間群論で名高い西川など、結晶研究の偉大な先達たちがいます。熊本大学は衝撃高圧実験や極限環境下での結晶解析技術で世界に誇るものがあります。寺田寅彦から引き継がれた日本の結晶研究の手法が現在どのように展開し、ミクロからマクロな世界の何をどのように見ようとしているのかをお話します。

E. 生物学コース

No. 授業担当者 タイトルおよび概要
E-1 逸見 泰久 有明海・八代海の環境と生物  有明海・八代海には、国内ではここにしかいない生物(有明海特産種)や、他の海域ではほとんどみられない生物(有明海準特産種)が多数生息している。これらの生物の現状と地史との関係、有明海・八代海の環境変化と人間生活との関係などを概説する。