"Paleomagnetism" by Robert Butler の翻訳です。興味のある人は自由にダウンロードして御利用下さい。変更しなければ再配付も自由です。
ver.0.6.1 への前書き 本書は Robert Butler の Paleomagnetism の翻訳である。今の所、第6章までしかないし、本文のみの翻訳である。本文以外の図、表、参考文献、問題などは原書を参照して頂きたい。第7章以降は実際の応用の話が多く、古地磁気の基礎的知識と言う面では第6章まででかなり網羅しているので、暫定的ではあるが公開することとした。 この翻訳を作った経緯を少し書いておきたい。我国の理系の学生の多くにとってはやはり英語は大きな障害である。学生が卒業研究をすすめる際に英語の教科書からスタートするのでは古地磁気学の基本的な知識を得るだけでほとんど時間がなくなってしまう。また、古地磁気は地球科学 (特に地質学) の他の分野にとってもきわめて有用で独立な情報をもたらすにも関わらず、十分利用されているとは言い難い。それは我国では日本語の教科書がなく、気軽に勉強しにくかったことも理由の一つであろう。そこで、私が大阪府立大学で初めて卒論生を受け入れた時、最も新しい古地磁気の教科書であった本書を少しずつ翻訳し始めた。しかし、熊本大学に移り、毎年継続的に卒論生が来てくれるようになっても、翻訳は遅々として進まず、1998年夏にやっと6章までたどり着いた。その頃、原書が絶版となったので、Butler さんは出版権を取り戻して、pdf ファイルで公開した。私は大いに力付けられ、同様に pdf ファイルで公開を考えた。今後も少なくとも本文は翻訳を続けて全章の翻訳を用意しようとは考えているが、もし、どの章でも翻訳を分担していただける方がおられたら、お手伝いをお願いしたい。また、まだまだ間違いが多いと思われるので、気付いた方はどんどんお知らせ願いたい。このような公開形態の利点には修正が容易だということもある。できるだけマメに修正していきたい。 このような公開はある意味では今までの翻訳出版の概念を変えるものかもしれない (単に ``なまけものの出版'' かもしれないが)。今までは翻訳を出版しようとするとやはりきちんとした本にしなくてはならないし、そのためには体裁や、細かい部分の翻訳に時間をとられることとなる。もちろん、途中の章までで出版するなどは考えられなかった。しかし、重要な部分のみであっても翻訳があれば、その分野が広く理解される上で大きな助けとなる。完全な翻訳を作る労力の 10% で 90% の効果を得ることができるのである。これが可能になったのは Butler さんが原書を公開して下さって、私がこのような形で公開することに快く承諾して下さったからである。心より感謝する。 |
ver.0.7.1 への前書き ver.0.6.1 を公開してから1年以上が経過して、やっと、もう一章進みました。小玉さんの良い教科書が出ましたので、あまり意味はなくなってしまいましたが、「ここまでは」と思っていたので、公開します。実際にゼミに使って、やはり図が別冊子になっているのは不便だと感じ、図を入れました。ただ、一部の図では、pdf から ps への変換がうまく行かず、解像度の低いビットマップの図しか入りませんでした。うまい方法を御存じの方はお知らせください。図のレイアウトは\LaTeX 任せでかなり気に入りませんが、``なまけものの出版''の原理に基づいて、これも、このままにします。今回もあまり真面目に読み返していません。間違いのお知らせをよろしくお願いいたします。今後も、できるだけマメに修正していきたいと思っています。 |
ver.0.8.1 への前書き ver.0.7.1 を公開してから10年以上。岩石磁気の基本は終わっているし、地磁気古地磁気については、ものすごく短いですが、紹介の文章も出版したしで (渋谷秀敏, 橋本武志 (2010)「太陽地球系科学」第10章地球の磁場、地球電磁気・地球惑星圏学会 学校教育ワーキング・グループ編、京都大学出版会) もういいかなとも思っていたのですが、古地磁気強度とか二次CRMとか、現在の学生さんが研究しているテーマと関係の深い内容なので、翻訳を作りました。また、第1章の補遺にあった``単位について''の翻訳も追加しました。これは、最近、SI単位系が嫌いになってきて (寺澤さんと飲んで話していて気付かされました) 読み直してみると個性的で面白いのであってもいいかなと思ったものです。 |
ver.0.9.2 への前書き
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ver.0.9a.3 への前書き 第9章の次は、Appendix をやってしまいました。式の導出等はもう少し脚注を入れたいのですが、きりがないので、これくらい。2016年4月6日。 |
ver.1.0 への前書き ジャジャーン。ver.1.0 です。でも、11 章はできていません。ver.0.10.0 というのも面倒なので、ver.1.0 にしました。マイクロソフトでも ver.3.1 まではバグだらけというのが常識なので、「ま、いっか」と思った 次第というだけです。第 10 章ではもう少し球面上の回転の話(有限回転の積の非可換性とか、角速度の和 (無限小回転の積) の可換性とか、オイラーの定理とか)があるべきなのでしょうが、かなりプラクティカル な話に終始しています。読者には Cox and Hart (1986) の “Plate Tectonics: How it works” などの、プ レートテクトニクスの幾何学についての解説書の併読を強く勧めます。2016 年 10 月 7 日。 |
ver.1.1 への前書き ver.1.1 でついに全文翻訳終了です。途中長い中断もあって、スタートしてから20年以上かかりました。まあ、ケルン大聖堂みたいなものです。第9章以降は、まだ、一度も読み直しいません。次に学生さんと、ベタ読みセミナーをする機会にチェックして直す予定です。11章も訳語にものすごく悩みました。Tectono--stratigraphic terrane なんて呆然とします。全部カタカナにする手もあるのですが、やっぱりルー大柴になってしまうし、迷う所であります。自然な訳ができた時には、明治時代に訳語を作って、定着させてくれた先達の偉大さを感じます。古地磁気関係では、少々強引でも、日本語にしましたが、層序やテクトニクスではそうもいきません。そちらの分野の方々のご努力を期待します。まだまだ問題は多いですが、長年の懸案が一つの決着に達して、ホッとしているところです。2017年1月18日 |
ver.2.0 への前書き 全訳終了から初めて学生さんとの本読み会で校正したものを公開します。とりあえず、これが確定版ということで Ver.2.0 と付けました。何回読んでも前の方の章から修正が出てくるので、まだまだ修正は出てくるとは思いますが、大規模なものは今回で最後。これからも、訳注を付けるとか、補足を付けるとかはして行くかもしれません。(Figure caption の翻訳はいいですよね?)2017年12月26日 |
ver.2.0.2 への前書き 数式周りの間違いなどを修正しました。綱川さん・馬場さんありがとう。2020年4月30日 |
ver.2.1.1 への前書き クロン・サブクロンのカタカナ表記についての訳註を追加した。内容を変更したので、小数点一桁目の改 訂。2022年9月5日 |
ver.2.1.2 への前書き 細かい間違いの修正。2022年4月27日 |
ver.2.2.1 への前書き 電磁気の単位系の換算表を書き足した。2023年2月18日 |
ver.2.2.2 への前書き Nunivak のカタカナ表記の推薦をヌニヴァクに訂正。2024 年 3 月 21 日 |