平成4年度
熊本大学理学部
地学教室年報

No. 3  1993 

前年度地球科学科ホームページ次年度


はじめに

 地学教室年報第3号平成4年度版(平成4年4月〜平成5年3月)をお届けします。今回も2章構成とし、第1章に教室構成員(教官、事務職員、学 生)の内訳をいれ、第2章に教官、大学院生、特別研究員の活動状況をまとめました。平成5年度からは、教室は5講座体制となり、学科名も、これまでの「地 学科」から「地球科学科」と改称され、教室内容は一段と拡充されてゆく計画です。それに伴って教室のアクティビティーがさらに向上してゆくことを願ってい ます。

地学教室主任 岩崎泰頴


======= 目次 =======

第1章 教室構成

  1. 教官・職員
  2. 在学生数
  3. 卒業生進路

第2章 活動状況

  1. 教官
  2. 大学院生・特別研究員


第1章 教室構成

I. 地球科学科教官・職員(平成6年2月現在)

講座

氏名

専門分野

岩石学・鉱物学

教授

小畑正明

岩石学

助教授

清水洋

地球化学

地質学・古生物学

教授

岩崎泰頴

古生物学

助教授

尾田太良

微古生物学

鉱床学

教授

津末昭生

鉱床学

助教授

尾崎正陽

鉱物学

助手

横瀬久芳

地球化学・岩石学

物理地学

教授

村田正文

層位学

助教授

中田正夫

地球物理学

講師

豊原富士夫

構造地質学

*平成4年6月16日着任

事務官  :田村弘美
事務補佐員:西 春美

II. 在学生数(平成5年2月現在)

学部生:

1年

2年

3年

4年

35名(内1名休学)

29名

31名

22名

117名
理学研究科(修士課程):

修士1年

修士2年

9名(内2名休学)

5名

14名
自然科学研究科(博士課程):

博士1年

博士2年

博士3年

4名

2名

6名

12名

III. 卒業および修了後の進路

学部卒業生(20名)
進学(本学大学院 7名)、研究生(他大学 2名)、企業(地質 6、情報 2、教育 1;合計 9名)、未定(2名)
修士課程修了者(7名)
進学(本学大学院 1名)、企業(地質 3名)、教員(1名)、研究生(本学 2名)
博士課程修了者(2名)
学振特別研究員(1名)、企業(地質 1名)


第2章 活動状況

記載項目
  1. 研究テーマ
  2. 学会誌発表
    1. 原著論文
    2. 総説、著書
  3. 学会講演発表〔複数著者の場合は講演者にアンダーライン)
  4. 受賞
  5. 研究助成
  6. 所属学会
  7. 学外委嘱委員
  8. 海外からの訪問者,研究員
  9. 海外出張
  10. その他のニュース

I.教官

岩崎泰頴

1.研究テーマ
  1. 浅海棲貝化石群集の種構成の時代による変遷: 堆積盆(当時の環境)を復元し,そこに棲息した貝化石群集を明らかにする.現在までに下部白亜系の貝類群(領石動物群とも呼ばれる)と,中部白亜系の御所 浦・御船型の貝類動物群についてはほぼ終っているが,最近我が国でも実用化され堆積場を再現するのに有効とされている堆積相解析により詰めを行っている. 古第三系に関しても着手している.
  2. 内湾に棲息する介形虫の研究: 有明海・八代海の最奥の汀線付近に棲息する介形虫は中国沿岸ならびに琉球・奄美諸島のヒルギ帯に棲息する介形虫と共通する種ないし属構成が判明しつつあ る.この様な介形虫種群について棲息環境を特定して棲み分け状況を明らかにし,化石における環境指標種としての有効性を明らかにする.
3.学会講演発表
  • 岩崎泰頴・中尾賢一:有明海の介形虫Tanella属.日本古生物学会第141回例会(盛岡)1992年6月
6.所属学会
日本古生物学会,日本地質学会,ベントス研究会,The Paleontological Society

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尾崎正陽

1.研究テーマ
  1. ホウ素,フッ素,塩素を含有するアルミノ珪酸塩鉱物の鉱物化学: 珪酸塩鉱物あるいは岩石とホウ素,フッ素,塩素などの揮発性成分を含む鉱化流体との反応により生成されたこれら3成分を主成分として含有するアルミノ珪酸 塩鉱物(axinite,tourmaline,scapolite,その他)の産状と各個鉱物の鉱物学的性質の検討,ならびに合成実験によるこれら各鉱 物の生成条件,生成環境と鉱物学的諸性質の関係についての検討と考察.
  2. 熱水の作用による岩石 鉱物の累進変質反応の実験的反応速度論的研究: 岩石・鉱物の変質の一因である熱水変質作用は,既存の岩石・鉱物とこれに接 する熱水との反応である.変質作用により生成される鉱物は,母材である岩石・ 鉱物の性質とこれに作用する熱水の物理化学的条件・性質(温度,圧力,pH, Eh, 溶存化学成分など)によって特徴づけられる.また,生成される変質鉱物の 種類と性質は反応の進行に伴って累進的に変化する.天然に見られるこれらの産状の検討と考察,ならびに各種の熱水と岩石・鉱物と の反応実験による累進変質反応の反応速度論的検討と 考察.
2.学会誌発表
a.原著論文
  • Ghayoumian, J., Nakajima, S. and Ozaki, M. (1992) Weathering characteristics of slate and green rocks. Intern. Symp. Soft rocks, Hard soils. Special Issue (in press).
  • 尾崎正陽・長谷義隆・豊原富士夫(1993) 耶馬渓図幅(地質図および同解説書).土地分類基本調査(大分県・国土庁).(印刷中).
3. 学会講演発表
  • Ghayoumian, J., Nakajima, S. and Ozaki, M.: Assesment of durability and deterioration characteristics of materials for rockfill dams. 29th Intern. Geol. Congress, Kyoto, 24 Aug. - 3 Sept., 1992.
6.所属学会
日本鉱物学会,日本岩石鉱物鉱床学会,日本粘土学会,日本資源地質学会, 日本地球化学会,日本窯業協会
7.学外委嘱委員
  • 金属鉱業事業団;九州中部地域広域地質構造調査検討員 大分県・国土庁;国土基本調査調査検討委員

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尾田太良

1.研究テーマ
  1. 新生代の微化石層位学的研究
  2. 後期.新生代の古海洋の復元に関する研究
  3. セジメントトラツプに基づく浮遊性有孔虫 群集の季節的変化及び物質循環に関する研究
  4. プランクトンネツトによる西太平洋における 浮遊性有孔虫の生態に関する研究
2.発表論文・著書等
  • Oda, M. and Akimoto, K. (1992) Paleogeography and paleoceanogrphy during the middle Miocene in the Fossa-Magna and Kanto regions, central Japan. Centenary of Japanese Micropaleontology. Eds. K. Ishizaki and T. Saito, Terra Scientific Pub. Comp., Tokyo, 43-50, 1992
  • 尾田太良・嶽本あゆみ(1992) 浮遊性有孔虫からみた黒潮流域の過去2万年間の海洋古環境.第四紀研究, 31 (5), 341-357, (1992).
  • 小林万里子・村山雅史・嶋村清・岡村真・松本英二・中村俊夫・塚脇真二・平朝彦・尾田太良(1993)八代海域のコアの記載と14C年代.九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動・科研費研究成果報告書、 3-38.
  • 小林万里子・尾田太良(1993)八代海YS91ー1、2コアの底生有孔虫群集予察的研究.九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動・科研費研究成果報告書、  39-51.
  • 吉村康隆・小畑正明・高岡秀明・尾田太良(1993) 九州西方海域、YS91ー1コア中の火山ガラスの化学分析.九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動・科研費研究成果報告書、52-56.
  • Xuedong Xu and Motoyoshi Oda (1993)Planktonic foraminifera in core KH82-4-14, East China Sea.九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動・科研費研究成果報告書、  57-73
3.学会講演発表
  • 嶽本あゆみ・尾田太良:四国沖KT89-18,P-4コアからの浮遊性有孔虫群集の変遷、日本地質学会西日本支部例会、1992年6月(広島) 小林万里子・秋元和實・尾田太良:九州西方海域における現生底生有孔虫群集の変遷、日本古生物学会例会、1992年6月(岩手)
  • 徐学東・尾田太良:planktonic foraminiferain core KH82-4-14, East China Sea. 日本地質学会西日本支部例会、1993年2月(福岡)
5.研究助成
  • 一般研究(C)尾田太良(代表者):九州西方海域における過去2万年間の海洋環境の変動
  • 総合研究(A)尾田太良(分担者):セジメント・トラップに基づく北太平洋における物質循環に関する研究(大場忠道)
6.所属学会
日本地質学会,日本古生物学会,石油技術協会,America Geophygical Union
7.学外委嘱委員
海洋科学技術センター客員研究員

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小畑正明

1.研究テーマ
  1. 上部マントルでのマグマの発生と移動:上部マントルを構成している超塩基性岩の構成と化学組成を調べることによりマントル物質の部分溶融によりマグマが発生し,上昇する過程を解明する.現在,北海道日高変成帯に産する幌満カンラン岩体をフィールドにしている.
  2. 下部地殻の溶融と酸性マグマの起源:高温型変成帯高温部には,部分溶融によって生じた不均質な岩石“ミグマタイト”が産する.これらの変成岩〜火成岩の構造と組成 を調べることにより大陸地殻下部の部分溶融の過程を 解明する.熊本県肥後変成帯をフィールドにしている.
  3. 変成作用における物質移動のメカニズム:変成岩に見られる反応縁や累帯構造等の非平衡組織を研究対象とし、物質移動の解析を通して変成反応のメカニズムを解明する。
2.学会誌発表
a.原著論文
  • Ellis, D. J. and Obata, M. (1992) Migmatite and melt segregation at Cooma, New South Wales. Trans. Roy. Soc. Edinburgh: Earth Sciences, 83, 95-106.
  • Takazawa, E., Frey, F. A., Shimizu, N., Obata, M. and Bodinier, J. L. (1992) Geochemical evidence for melt migration and reaction in the upper mantle. Nature, 359, 55-58.
  • Davies, G. R., Nixon, P. H., Pearson, G. and Obata, M. (1992) Graphitized diamonds from the Ronda peridotite massif, S. Spain. Proc. Kimberlite Conf. (Brazil) (in press)
  • Davies, G. R., Nixson, P. H., Pearson, G. and Obata, M.(1993) Tectonic implications of graphitized diamonds from the Ronda peridotite massif, southern Spain. Geology, (in press)
  • Obata, M., Nagakawa, K., Yoshimura, Y., Odawara, S. and Osanai, Y. (1993) Crustal anatexis and melt migrations observed in the Higo metamorphic terrane, west-central Kyushu, Kumamoto, Japan. Lithos (submitted)

b.総説、著書

  • 永川勝久, 吉村康隆, 小畑正明, 小山内康人 (1992) 肥後変成帯とミグマタイト. 日本地質学会第99年大会 見学旅行案内書、33-49
  • Ogawa, Y., Nishiyama, T, Obata, M., Nishi, T, Miyazaki, K., Ikeda, T., Yoshimura, Y. and Nagakawa, K. (1992) Continental margin tectonics in Kyushu, southwest Japan -- Mesozoic paired metamorphic belts and accretionary complexes, 29th IGC Field Trip Guide Book vol. 1 "Paleozoic and Mesozoic terranes: basement of the Japanese Island arcs", Nagoya Univ.
  • 小山内康人、川崎智祐、小畑正明、大和田正明(1992)肥後変成帯泥質グラニュライトのアナテクシス。月刊地球14巻5号、264ー270
  • 小畑正明(1992)地殻の溶融とメルトの移動の力学的側面。月刊地球、14巻11号662ー666
3. 学会講演発表
  • 吉村康隆, 永川勝久, 小畑正明, 小山内康人:肥後変成帯におけるアナテクシス. 日本地質学会第99年大会(熊本)1992年9月
  • Obata, M., Nagakawa, K., Yoshimura, Y. and Osanai, Y.: Crustal anatexis and melt migration observed in the Higo metamorphic terrane, west-central Kyushu, Kumamoto, Japan. 29th IGC, Kyoto, 1993年9月
  • Obata, M.and Karato, S.: Ultramafic pseudotachylite from the Balmuccia peridotite, Ivrea Zone, Italy. 29th IGC, Kyoto, 1993年9月
  • Takazawa, E., Frey, F. A., Shimizu, N., Obata, M. and Nakamura, E.: Geochemical characteristics of the Horoman layerefd ultramafic complex, Hokkaido, Japan: evidence for fluid migration and reaction in the upper mantle. 29th IGC, Kyoto, 1993年9月
  • Morishita, R. and Obata, M.: Modeling of metamorphic textures by cellular automata. 29th IGC, Kyoto, 1993年9月
  • 吉村康隆, 小畑正明:九州中部肥後変成帯に産するセクタ構造を有するザクロ石の産状および化学組成. 岩鉱学会平成4年度講演会1993年1月 永川勝久, 小畑正明, 板屋徹丸:肥後変成帯のK-Ar年代 日本地質学会西日本支部第  回例会(宗像)1993年2月
5.研究助成
  • 総合研究(A)小畑正明(分担者):高温変成岩とミグマタイトの研究(代表者 弘前大学 大貫仁)
  • 日本学術振興会 日米科学協力事業共同研究 小畑正明(代表者)上部マントルにおけるマグマの集積過程の研究—幌満カンラン岩の地球化学
6.所属学会
日本地質学会,日本火山学会,日本岩石鉱物鉱床学会,形の科学会, Mineralogical Society of America, American Geophysical Union
8.海外からの訪問者
1992年10月 清水孚道氏(ウッズホール海洋研究所)日米共同研究実施のため.
1993年2月 Charles T. Herzig  (日本学術振興会特別研究員, San Diego State University)肥後変成帯地質見学のため

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清水 洋

1.研究テーマ
  1. 固体地球の化学的進化: 先カンブリア紀の岩石についての、微量元素及び同位体比の研究により、固体地球の化学的進化を解明する。現在は、東アジアの大陸地殻の化学的発達に重点をおいて研究を進めている。
  2. 海洋における希土類元素の挙動並びにケイ質堆積物の生成環境に関する研究: 海洋環境における希土類元素等の微量元素の供給源並びにその挙動を解明する。そして、チャート等のケイ質堆積物の生成環境を明らかにする。
2.学会誌発表
a.原著論文
  • Shimizu, H., Sawatari, H., Kawata, Y., Dunkley, P.N. and Masuda, A. (1992) Ce and Nd isotope geochemistry on island arc volcanic rocks with negative Ce anomaly: existence of sources with concave REE patterns in the mantle beneath the Solomon and Bonin island arcs. Contrib. Mineral. Petrol. , 110, 242-252.
  • Suzuki, K., Qi-Lu, Shimizu, H. and Masuda, A. (1992) Determination of osmium abundances in molybdenite mineral by isotope dilution mass spectrometry with microwave digestion using potassium dichromate as oxidizing agent. Analyst, 117, 1151-1156.
  • Liu,C.-Q., Masuda, A., Shimizu, H., Takahashi, K. and Xie, G-H. (1992) Evidence for pressure dependence of the peak position in the REE mineral/melt partition patterns of clinopyroxene. Geochim. Cosmochim. Acta, 56, 1523-1530.
  • Amakawa, H., Shimizu, H. and Masuda, A. (1992) Reply to comment by H. Elderfield on "Isotopic composition of Ce, Nd and Sr in ferromanganese nodules from the Pacific and Atlantic Oceans, the Baltic and Barents Seas, and the Gulf of Bothnia". Earth Planet. Sci. Lett., 111, 563-565.
  • Hidaka, H., Holliger, P., Shimizu, H. and Masuda, A. (1992) Lanthanide tetrad effect observed in the Oklo and ordinary uraninites and its implication for their forming processes. Geochem. J., 26, 337-346.
3. 学会講演発表
  • 鈴木勝彦・其魯・清水洋・増田彰正:モリブデナイトのRe-Os年代;信頼度の高い方法の開発とその応用. 地球惑星科学関連学会1992年合同大会(京都)1992年4月
  • Shimizu, H., Sawatari, H., Kawata, Y., Dunkley, P.N. and Masuda, A. : Ce and Nd isotope geochemistry on island arc volcanic rocks with negative Ce anomaly: existence of sources with concave REE patterns in the mantle beneath the Solomon and Bonin island arcs. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • Shimizu, H., Tachikawa, K., Masuda, A. and Nozaki, Y. : Cerium and neodymium isotope variations in seawater from the North Pacific. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • Amakawa, H., Ingri, J., Masada, A. and Shimizu, H. : Isotopic compositions of Ce, Nd and Sr in ferromanganese nodules from various ocean regions. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • Suzuki, K., Qi-Lu, Shimizu, H. and Masada, A. : Recovery of trust in Re-Os clock for molybdenite. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • Lee, S.-G., Shimizu, H., Amakawa, H., Masuda, A., Zhao, Z., Yang, R. and Song, Y.-S. Chemical evolution of Precambrian continent in East Asia: the evidence from La-Ce and Sm-Nd isotpic data and REE abundances. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • Matsuda, N., Shimizu, H. and Masuda, A. : Experimental study on REE dissolution in water-rock interaction at room temperature. 29th Intern. Geol. Congress (Kyoto) 1992年8月
  • 鈴木勝彦・其魯・清水洋・増田彰正:モリブデナイトのRe-Os年代;信頼度の高い方法の開発とその天然試料への応用結果.1992年度日本地球化学会年会(東京)1992年10月
  • 清水洋・立川和代・野崎義行・増田彰正:北太平洋における海水中のCe、Nd同位体比.1992年度日本地球化学会年会(東京)1992年10月
  • 鍵裕之・高橋和也・日高洋・清水洋・増田彰正:カルボナドの物性とその起源について.1992年度日本地球化学会年会(東京)1992年10月
  • 南雅代・清水洋・足立守・増田彰正:西オーストラリアPilbara地域の始生代岩石のCe、Nd同位体比およびREEパターン.1992年度日本地球化学会年会(東京)1992年10月
  • 天川裕史・清水洋・増田彰正:シャツキー海膨より採取した変質した玄武岩のCe、Nd、Sr同位体比.1992年度日本地球化学会年会(東京)1992年10月
  • 鈴木勝彦・清水洋・山崎一雄・増田彰正:モリブデナイトのRe-Os年代;鉱床母岩年代との比較.1992年質量分析学会同位体比部会(山形)1992年11月
  • 天川裕史・清水洋・増田彰正:シャツキー海膨より採取した変質した玄武岩のCe、Nd、Sr同位体比.1992年質量分析学会同位体比部会(山形)1992年11月
  • 鈴木勝彦・清水洋・増田彰正:モリブデナイトのRe-Os年代:鉱床形成史. 地球惑星科学関連学会1993年合同大会(東京)1993年3月
  • 南雅代・清水洋・足立守・増田彰正:西オーストラリアPilbara地域の始生代岩石に関する地球化学的研究. 地球惑星科学関連学会1993年合同大会(東京)1993年3月
5.研究助成
  • 一般研究(C)清水洋(代表者):希土類元素同位体トレーサーによる固体地球の初期進化の解明
6.所属学会
日本地球化学会, 日本地質学会, 日本鉱物学会, 日本質量分析学会, 日本化学会, Geochemical Society, Meteoritical Society, Mineralogical Society of America, American Geophysical Union
7.学外委嘱委員
 理化学研究所嘱託

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津末昭生

1.研究テーマ
 日本及び近傍の大陸縁辺部の花崗岩類に関する研究:日本列島には白亜紀ないし古第三紀の花崗岩類が広く分布しているが、西南日 本外帯には新第三紀の花崗岩類が紀伊半島、四国、九州等に分布し、北東アジアの大陸部には見られない特異な花崗岩岩石区を形成している。これらの花崗岩類 は瀬戸内海地域の安山岩類と共に中新世に活動したもので、日本海の形成と拡大に関連しているものと考えられている。また、北東アジアの大陸部には、沿海側 から内陸側に向かって、ほぼ白亜紀、ジュラ紀、三畳紀、古生代等の花崗岩類が配列している。日本列島にはジュラ紀の花崗岩類が飛騨地域、能登半島南部と島 根県隠岐島後に知られているに過ぎない。しかし、これらの花崗岩類は、かっての日本列島とアジア大陸との位置的関係を知る上で重要な鍵である。
2.学会誌発表
a.原著論文
  • 代 開秋・津末昭生・本間弘次(1993):高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の岩石学的研究.岩鉱,88(印刷中).
3. 学会講演発表
  • Tsusue,A. Characteristics and genetic consideration of Miocene granitoids in the Outer Zone of Southwest Japan.29th Internat.Geol.Congr.Kyoto,Japan,1992年8月24ー9月3日.
  • 代 開秋・津末昭生:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の造岩鉱物の化学組成.日本地質学会第99年学術大会(熊本)講演要旨,431,1992年4月.
  • 代 開秋・津末昭生:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類のREEパターンについて.資源地質,42(3),209,(東京),1992年6月. 
  • 代 開秋・津末昭生・本間弘次:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の全岩SrとNdの同位体比.日本岩石鉱物鉱床学会平成4年度学術講演会(仙台),1993年1月.
  • 李 仁鉉・津末昭生:熊本県宮の原花崗岩類の貫入温度・圧力.日本地質学会第99年学術大会(熊本)講演要旨,432,1992年4月.
  • 李 仁鉉・津末昭生:韓国月岳山花崗こう岩体の貫入温度・圧力.資源地質,42(3),209ー210,(東京),1992年6月.
6.所属学会
資源地質学会,日本岩石鉱物鉱床学会,日本鉱物学会,日本地質学会,日本地球化学会,Society of Economic Geologists.
7.海外からの訪問者, 研究員
Heinrich D. Holland,U.S.A.,Harvard University,Geochemistry,1992年9月3日ー7日.
8.海外出張
1993年3月15日ー3月22日,フランス(オルレアン,パリ),博士論文審査会に出席及び研究打合せのため.

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豊原富士夫

1.研究テーマ
サブダクション帯及びその前面における構造運動: 日本列島の構造帯及びその内部の地質構造は,サブダクション帯そのもので 形作られたという意見が多くみられる.しかしながら,本研究者は,日本列島の形成において最も重要な役割を果たした要因は,プレートのサブダクションに 伴ってその前面に生じた熱であると考えており,主要な地質構造の形成もサブダクション帯そのものの内部ではなく,その前面の高温区内であると考えている. この主張を裏付けるために,下記のような,より小さなテーマを設定して研究を 行っている.
  1. 日本列島の形成過程を層序学的,構造地質学的手法を用いて明らかにする.
  2. 過去の造山帯に見られる小地質構造 (e.g.小褶曲,マイロナイト,スレート劈開等の組織)を,偏光顕微鏡,微分干渉顕微鏡,電子顕微鏡等によって観察,記載し,また,鉱物学,金属学等の 他分野における従来の研究と合わせることによって,その形成時の物理条件,特に温度との関連を明らかにしていく.
  3. 三軸圧縮変形実験によって,温度,封圧,応力等を変えて変形させた試料の 変形組織を,地質時代に変形した岩石の組織と比較することによって,構造運動における物理条件を考察する.
2.学会誌発表
  • 豊原富士夫(1992):中九州西部の地体構造区. 日本地質学会第99回大会(熊本)巡検案内書.pp125-159.
  • 岩崎泰頴・豊原富士夫・長谷義隆(1993)表層地質図「教良木・三角」および同説明書. 土地分類図,熊本県.
  • 尾崎正陽・長谷義隆・豊原富士夫(1993) 表層地質図「耶馬渓」および同説明書.土地分類基本調査(大分県・国土庁).(印刷中).
3.学会講演
  • 豊原富士夫・村田正文・永川勝久(1993):水越層からの二畳紀放散虫化石の発見とその提起する問題. 日本地質学会西日本支部.1993年2月.
6.所属学会
日本地質学会,日本地震学会,日本地すべり学会

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中田正夫

1.研究テーマ
  1. 固体地球の変形の定量的解析及び地球のレオロジーの研究: 地球の表面で起こっている種々の地学現象 (火山活動・造山運動 etc)を定量的 に理解するには,各々現象に関係した,リソスフェア,アセノスフェア,マントルのレオロジカルな性質を評価することが大切である.特にリソスフェアやアセ ノスフェアの流動特性を地質現象から評価することは,造山運動のメカニズムの定量的解析に大切である.現在は,リソスフェア,アセノスフェア内に水平方向 の密度不均質 (地質学的に決定される) があった時に地殻表面,内部にどのような変形をもたらすかを定量化している.この結果を用いriftingや高温変成帯をも考慮した島弧のテクトニクスを 研究している。
  2. 西九州の第4紀の海水準変動の解析: 熊本平野から五島列島にかけてはテクトニックに相対的に安定である。つまり完新世の海面変動を2次元的にマッピングすることにより、氷河性海水準変動の効 果のみを評価することが可能である。又この地域の過去1万年間の古環境及び古潮位を研究することが可能と思われる。
  3. 西九州の重力測定: 西九州は今リフト系として地球科学的に非常に大切な位置に属している。この地域のテクトニクスを重力測定及びシュミレーションをもとに研究している。
2.学会誌発表
  • Lambeck,K. and Nakada, M. (1992) Constraints on the age and duration of the last interglacial period on sea-level variations, Nature, 357, 125-128.
  • Maeda,Y., Nakada,M., Matsumoto,E. and Matsuda,I. (1992) Crustal tilting derived from Holocene sea-level observations along the east coast of Hokkaido in Japan and upper mantle rheology, Geophys.Res.Lett., 19, 857-860.
  • Nakada,M. and Yokose,H. (1992) Ice age as a trigger of active Quaternary volcanism and tectonism, Tectonophysics, 212, 321-329.
3.学会講演発表
  • 大野一郎他5人:瀬戸内海西部の重力異常.地球惑星関連学会 1992年4月
  • 中田正夫:Last interglacial shoreline on a deformable Earth.地球惑星関連学会 1992年4月
  • 中田正夫・横瀬久芳:第四紀の火山活動と氷河時代の関係.地球惑星関連学会 1992年4月
5.研究助成
  • 一般研究 (C) 中田正夫(代表者):島弧域のダイナミックトモグラフィーと地殻・上部マントルのレオロジーの研究
  • 重点領域研究(分担者):文明と環境(代表者 国際文化センター 伊藤俊太郎)
  • 重点領域研究(分担者):地球中心核(代表者 東京大学地震研究所 行武毅)
  • 重点領域研究(分担者):遺跡探査(代表者 山形大学 前田保夫)
5.所属学会
日本地震学会

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村田正文

1.研究テーマ
日本列島の中古生界の地質構造と生層序の解明。
3.学会講演発表
  • 豊原富士夫・村田正文・永川勝久(1993):水越層からの二畳紀放散虫化石の発見とその提起する問題. 日本地質学会西日本支部.1993年2月.
6.所属学会
日本地質学会,日本古生物学会
7.学外委嘱委員
県地下水審議会委員, 市上水道水源研究会委員

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横瀬久芳

1.研究テーマ
  1. 島弧の地殻形成機構に関する研究: 火山活動、造山運動、地震などおおくの地学現象は、島弧において観察されており、陸域を多量に作り出す火成作用(火山活動や深成岩の形成)は島弧または陸 弧に限定される。そこで、地殻形成にまつわる諸問題を火成作用という観点から解析を進め、地殻の発展史や発達段階を明かにすることを目的としている。解析 にあたっては、岩石学や地球化学(微量元素測定や同位体測定)的手法を駆使している。
  2. b.精密分析法の開発: 多くの分析機器が、近年長足の進歩を遂げてきている。その結果、分析の摘要範囲がかなり低濃度(ppb やナノグラム)まで拡張され、また分析時間も短くなってきた。これらの分析機器を充分活用できたなら、新発見も可能となるであろう。しかしながら、これら の分析機器は、産業界の製品管理などの目的で開発されているため、地球科学的サンプル(多元素が混在する)を直接定量することが出来ない。分析機器の能力 を最大限に活用するためには、地球科学的サンプルに前処理(分析器にあった状態)が必要となる。そこで、新たな前処理法(分析法)を開発しより精密なデー タを獲得することを目標としている。
2.学会誌発表
  • Nakada,M. and Yokose,H. (1992) Ice age as a trigger of active Quaternary volcanism and tectonism, Tectonophysics, 212, 321-329.
3.学会講演発表
  • 中田正夫・横瀬久芳:第四紀の火山活動と氷河時代の関係.地球惑星関連学会 1992年4月
  • 山本茂・横瀬久芳:九州金峰火山に産するハンレイ岩質ゼノリスの化学組成.日本火山学会1992年度秋季大会(伊東)1992年11月
  • 横瀬久芳・山本茂:ICP-AESによる日本標準岩石試料中の希土類元素の定量.日本火山学会1992年度秋季大会(伊東)1992年11月
6.所属学会
日本火山学会、日本岩石鉱物鉱床学会、日本地質学会、日本地球化学会

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II. 大学院生(修士・博士コース) 及び学振特別研究員

2.学会誌発表
a.原著論文
  • 代 開秋 (1992),日本飛騨変成帯庄川岩体的岩石成因.桂林冶金地質学院学報,第12巻,第3号,289-297.
  • 代 開秋・津末昭生・本間弘次(1993),高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の岩石学的研究.岩鉱,88(印刷中).
  • 尾田太良・嶽本あゆみ(1992),浮遊性有孔虫からみた黒潮流域における過去2万年間の海洋変動.第四紀研究(The Quaternary Research) ,31(5), 341-357
  • 森下律生(1992),砥川安山岩溶岩の結晶サイズ分布について,火山,37,285-293.
  • Obata,M.,Nagakawa,K.,Yoshimura,Y.,Odawara,S.and Osanai,Y.:Crustal anatexis and melt migrations observed in the Higo metamorphic terrane,west-central kyushu,Kumamoto,Japan.(submitted to Lithos,Nov.1992)

b.総説、著書

  • 森下律生(1992),動的岩石組織学に向けて(2)ー特に熱変成組織についてー,月刊地球,14,637-642.
3.学会講演発表
  • 大坪 徹・西本仁史:日高変成帯ウエンザルーパンケヌーシかんらん岩体の起源の異なる2つの“主帯”かんらん岩類について ー幌満岩体との比較ー.日本岩石鉱物鉱床学会(仙台)1993年1月
  • Xuedong Xu & Motoyoshi Oda:Planktonic Foraminifera in Core KH82-4-14,East China Sea .日本地質学会西日本支部例会(福岡)1993年2月
  • 代 開秋・津末昭生:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の造岩鉱物の化学組成.日本地質学会第99年学術大会(熊本)1992年4月
  • 代 開秋・津末昭生:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類のREEパターンについて.資源地質学会第42回年会講演会(東京)1992年6月
  • 代 開秋・津末昭生・本間弘次:高知県南西部柏島ー沖ノ島地域の花崗岩類の全岩SrとNdの同位体比.日本岩石鉱物鉱床学会平成4年度学術講演会(仙台)1993年1月
  • 嶽本あゆみ・尾田太良:四国沖KT89-18,P-4コアからの浮遊性有孔虫群集の変遷.日本地質学会西日本支部第125回例会(広島)1992年6月
  • 大木公彦・井宮裕之・鳥井真之:第三紀宮崎層群中に見られる海底地滑り堆積物.日本地質学会第99 年学術大会(熊本)1992年4月
  • 藤岡換太郎・加藤幸弘・鳥井真之・古賀義徳・松本剛・小野朋典・深海研究グループ:琉球海溝海側・陸側斜面の異なる性質.地震学会1992年度秋季大会(地質調査所)1992年10月
  • 永川勝久・小畑正明・板谷徹丸:肥後変成帯のK-Ar年代.日本地質学会西日本支部例会(福岡)1993年2月
  • 豊原富士夫・村田正文・永川勝久:水越層からの二畳紀放散虫化石の発見とその提起する問題.日本地質学会西日本支部例会(福岡)1993年2月
  • 中島隆・永川勝久・小畑正明・内海茂:肥後変成岩及びそれに伴う花崗岩類の同位体年代.日本地質学会第99 年学術大会(熊本)1992年4月
  • Obata,M.,Nagakawa,K.,Yoshimura,Y.and Osanai,Y.:Crustal anatexis and melt migrations observed in the Higo metamorphic terrane,west-central kyushu,Kumamoto,Japan.29th International Geological Congress (Kyoto,Japan) 1992年8月
  • 森下律生:動的岩石組織学に向けて(2)ー特に熱変成組織形成時の結晶間相互作用についてー.日本地質学会第99 年学術大会(熊本)1992年4月
  • Morishita,R.,Obata,M.:Modeling of Metamorphic Textures by cellular automata. 29th International Geological Congress (Kyoto,Japan) 1992年8月
  • 山田和宏: 岩石剪断破壊におけるクラックサイズ分布の時間依存性. 地球惑星科学関連学会1992年合同大会講演( 京都) 1992年4月
  • Iwamatsu, A.and Yamada, K. : Direct observation of rock fracturing under high confining pressure. 29th International Geological Congress ( Kyoto, Japan)  1992年8月
  • 山田和宏, 森下律生: クラック形態の3次元分布パターン. 地震学会1992年度秋季大会( 地質調査所)1992年10月
  • 山本茂・横瀬久芳:九州金峰火山に産するハンレイ岩質ゼノリスの化学組成.日本火山学会1992年度秋季大会(伊東)1992年11月
  • 横瀬久芳・山本茂:ICP-AESによる日本標準岩石試料中の希土類元素の定量.日本火山学会1992年度秋季大会(伊東)1992年11月
  • 湯本道明:八代海の介形虫Sinocythere sp..日本古生物学会1993 年年会(つくば)1993年1月
  • 吉村康隆・小畑正明:九州中部,肥後変成帯中に産するセクター構造を有するザクロ石の産状および化学組成.日本岩石鉱物鉱床学会(仙台)1993年1月
  • 小畑正明・永川勝久・吉村康隆・小田原俊一・小山内康人:肥後変成帯におけるアナテクシス(その2),特にミグマタイトと優白質花崗岩について.日本岩石鉱物鉱床学会(仙台)1993年1月
  • 李 仁鉉・津末昭生:熊本県宮の原花崗岩類の貫入温度・圧力.日本地質学会第99 年学術大会(熊本)1992年4月
  • 李 仁鉉・津末昭生:韓国沃川帯の月岳山花崗岩体の貫入温度・圧力.資源地質学会第42回年会講演会(東京)1992年6月
  • 吉村康隆・永川勝久・小畑正明・小山内康人:肥後変成帯におけるアナテクシス.日本地質学会第99 年学術大会(熊本)1992年4月
5.研究助成
  • 特別研究員奨励費,森下律生:岩石学における相転移現象の記述とそのモデルの数理学的検証.
9.その他のニュース
森下律生:日本学術振興会特別研究員(DC2)に採用決定

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