ノーザンハイブリダイゼーション


 サザンブロット法と同様の技術をRNAに適用する方法は、ノーザンブロットと呼ばれる。この場合には、mRNAをゲルで電気泳動し、ナイロンメンブレン等に移した後、放射性のRNAあるいは1本鎖DNAをプローブとしてハイブリッド形成を行い、もとのRNA断片の位置を決定する。また、今回もTOYOBO社製のノーザンブロットキットのプロトコルを参考にして紹介をする。

1)ホルムアルデヒドアガロースゲルの作成

ゲル組成
  1. 1.5gのアガロースゲルを72mlの無菌水に加えて電子レンジで溶かす。
  2. 10×bufferを10ml加える。
  3. ドラフター内で12.2Mのホルムアルデヒドを18ml加えよく混合し、トレーに流しゲルを固める。
    ・泳動中のRNAを直鎖状にするためにアガロースゲルにホルムアルデヒドを加える。
  4. 固まったら1×MOPS bufferを加えて乾燥を防ぐ。

2)RNA試料の調整

ホルムアミドで全量を20μlにする。このときホルムアミドはAG-501-X8(Bio‐Rad社製)混合樹脂で脱イオン化した後、フィルター滅菌する。

  1. RNA量が2μg入るようにRNA溶液を調整する。
  2. 上のテーブルのものを1.5mlチューブの中で調整する。
  3. 65℃、15分加熱し氷上に放置する。
    ・RNAを直鎖状にするために熱変性させる。
  4. オートクレーブ滅菌したゲルローディングbufferを2μlチューブの中に加えよく混合する。

3)実験方法

  1. 泳動槽の中に1×MOPS bufferを入れる。
  2. 泳動する前にゲルを平衡化するために5分間くらい空運転する。
  3. 調整したRNA試料を2.2Mホルムアルデヒドアガロースゲル電気泳動する。
  4. ゲル上のRNAをメンブレンに転写する。

    ・リン酸bufferが上部に移動するのと共に、ゲル中のRNAがナイロンメンブレンに転写される。

  5. メンブレンを80℃で15分間乾燥し、UVをあててRNAを固定する。
  6. 厚めのポリ袋にメンブレンとハイブリダイゼーション溶液3mlを入れてシールし、42℃で2時間浸す。このときポリ袋の中の空気をぬいてから行う。
  7. ハイブリダイゼーション溶液を捨て、各プローブ1μlとハイブリダイゼーション溶液で再びシールし、42℃で一晩(16時間)ハイブリダイゼーションさせる。

    ・前述のサザンハイブリダイゼーションの時はプローブにDIGラベルを付ける工程を自分で行ったが、ノーザンハイブリダイゼーションの時はあらかじめビオチンラベルされたプローブを業者から購入した。

  8. メンブレンをポリ袋の中から取り出し、1×SSC,0.1%SDS溶液に浸して室温で5分間緩やかに振とうする。
    ・メンブレンを洗浄する。
  9. 8.の操作をもう一度行う。
    ・メンブレンを洗浄する。
  10. BL溶液に浸して室温で5分間緩やかに振とうする。
    ・BL溶液で、メンブレンを保護する。
  11. ポリ袋にメンブランとSA溶液(抗ビオチン抗体が含まれている)を3ml入れてシールし、室温で5分間激しく振する。
    ・ビオチンラベルされたプローブとハイブリッド形成したDNAを、抗ビオチン抗体と結合させる。
  12. メンブランを取り出し、W1溶液に浸して室温で5分間緩やかに振とうした。
    ・メンブレンを洗浄する。
  13. 12.の操作をもう1度行う。
  14. ポリ袋にメンブランと2000倍希釈BA溶液(BA溶液1.5μlを3mlのBL溶液に入れる。)を3ml入れてシールし、室温で5分間激しく振とうする。
    ・BA溶液には19.の発光反応を触媒するホスファターゼが含まれている。
  15. メンブランを取り出し、W1溶液に浸して室温で5分間緩やかに振とうする。
    ・メンブレンを洗浄する。
  16. 15.の操作をもう1度行う
  17. W2溶液に浸して室温で5分間緩やかに振とうする。
    ・メンブレンを洗浄する。
  18. 17.の操作をもう1度行う。
  19. ポリ袋にメンブランとPPD溶液を3ml入れシールし、室温で5分間激しく振とうする。
  20. 感光板にメンブランを入れて発光させる。(37℃の暗所で30分間放置)
  21. X線フィルムをメンブランの上にのせて暗所で2時間感光させる。
  22. 現像する。

4)ノーザン分析の試薬の組成